booo.png

14 牛のCL16遺伝子欠損症の関与しない腎異形成 〔岡田 綾子(鳥取県)〕

 黒毛和種,雄,3カ月齢,鑑定殺.正常に生まれた子 牛が1 週齢で下痢を呈し,1週間加療された.その後も 元気消失や食欲不振が続き,起立不能に陥ったため,鑑 定殺された.

 剖検では,左右腎臓の皮質が均一に褪色し,やや硬化 していた.左心内膜のほぼ全域に乳白色斑が認められ た.

 組織学的には,両側腎皮質でネフロンの形態異常と間 質の線維化がび漫性に観察された(図14).糸球体はそ の数は正常例と大差ないが,大小不同や未熟なものが目 立ち,ボウマン囊の拡張もしばしばみられた.皮質表層 では,直径が著しく小さく内腔が狭小化した尿細管が認 められた.また拡張した尿細管が多数存在し,内腔には 好酸性硝子物質や細胞退廃物,剝離上皮が散見された. 髄質では,集合管内腔に好酸性顆粒状物質が高頻度に観 察された.全身血管壁及び結合組織の転移性石灰沈着が 多発し,骨格筋,舌及び咽喉頭で筋線維の硝子化,絮状 変性,並びに石灰沈着が多病巣性に認められた.

 血液生化学検査では,鑑定殺3週間前の血清中ビタミ ンE(VE)は41.5μg/dl,セレン(Se)は42.7ng/ml であった.

 以上から,本症例は白筋症を伴った牛の腎異形成と診 断された.全身症状は腎機能不全によるもので,これに 伴い哺乳量低下と下痢を呈したためVE欠乏とSe低下を 起こし,白筋症に至ったと考えられた.参加者からはあ る特定の血統で腎異形成が多発しているとの情報提供が あったが,本症例は別の血統であった.

腎異形成