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16 子牛の大脳における腸管外病原性大腸菌(ExPEC: O121)による化膿性髄膜脳炎 〔水上 智秋(岡山県)〕

 黒毛和種,雄,6日齢,鑑定殺.2015年11月生まれ の子牛が,生後5日目より突然の衰弱,四肢放出,起立 不能,軟便排出,軽度の眼振を呈した.体温は38.2℃ であった.補液と強肝剤投与が成されたが,翌日体温は 36℃台に低下し間欠的に遊泳運動を呈したため予後不 良と判断され鑑定殺された.

 剖検では,大脳脳溝に白色膿様物が付着し,胸腺菲薄, 脊椎やや脆弱であった.

 組織学的には,大脳,小脳,及び脳幹では髄膜に線維 素析出を伴う好中球及びマクロファージの中等度〜高度 浸潤がび漫性に認められ,皮髄の血管周囲及び実質に好 中球及びマクロファージの中等度巣状浸潤が多発し,血 管のフィブリノイド変性が散見された(図16).眼球で は視神経鞘に好中球及びマクロファージの中等度層状浸 潤が認められた.胸腺は皮質が菲薄化し,び漫性に星空 像が認められた.病原大腸菌免疫血清「生研」(デンカ 生研,東京)を用いた免疫組織化学的検査では,大脳, 小脳,脳幹,及び眼球の病変部に一致して陽性反応が認 められた.

 病原検査では,肝臓,脾臓,腎臓,及び脳から大腸菌 が分離された.分離された大腸菌は血清型O121 で,下 痢原性大腸菌の毒素(VT1,VT2,ST,LT)及び定着 因子(K88,K99,987P,eaeA)は陰性,ExPECの病 原性関連遺伝子はiss(血清抵抗性)及びiucD(鉄獲得 能)が陽性であった.

 以上より,本症例は子牛のExPEC感染症と診断され た.

化膿性髄膜脳炎