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17 子牛のFusobacterium necrophorum subsp. necrophorum による多発性脳膿瘍 〔秋山 倫子(山梨県)〕

 ホルスタイン種,雌,15日齢,斃死例.2016年3月 29 日生まれの子牛が4月11日夕方に起立不能を呈し4 月14日早朝斃死した.

 剖検では,大脳,中脳,及び小脳にチーズ様凝固物を 含む米粒大〜小豆大の膿瘍が散在していた.延髄周囲は 全周にわたり膠様物が付着していた.肝臓では黄白色結 節が多発し,臍静脈との接続部で特に重度であった.肺 の左右前葉と中葉に粟粒大〜拇指頭大の膿瘍が散見され た.肝臓と腹壁,及び肺胸膜と胸壁はそれぞれ癒着して いた.左大腿骨頭部に黄白色の付着物が,右股関節には 膠様物が付着していた.

 組織学的に,大脳では全域に膿瘍が散在していた(図 17).膿瘍は凝固壊死像を呈し,辺縁にはグラム陰性菌 が多数認められ,周囲には変性した炎症細胞が浸潤して いた.炎症細胞の一部は燕麦状を呈していた.肝臓の黄 白色結節や肺の膿瘍も,脳病変と同様の凝固壊死巣とし て認められた.家兎抗Fusobacterium necrophorum 血 清(動衛研,茨城)を用いた免疫染色では,肝臓,肺, 大脳,中脳,小脳,横隔膜,及び臍帯において壊死巣に 一致して陽性反応が確認された.

 病原検査では,肺,肝臓,及び腹膜からF. necrophorum が分離され,大脳,肺,肝臓,及び腹膜の10%乳 剤からF. necrophorum subsp. necrophorum の特異遺 伝子が検出された.

 以上より,本症例は子牛のF. necrophorum 感染症と 診断された.

多発性脳膿瘍