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19 牛の大脳におけるHistophilus somni による血管炎及び血栓形成を伴う化膿性壊死性脳炎 〔大泉 卓也(長野県)〕

 黒毛和種,去勢雄,11カ月齢,斃死例.肥育牛約420頭を飼養する肥育農場で,2015年5月21日に県外から導入された1頭が,6月7日に食欲廃絶,起立不能を呈したため,抗生剤投与等による治療が行われた.翌日,遊泳運動を呈し斃死したため,病性鑑定を実施された.

 剖検では,大脳に直径1〜5mmの赤色斑が多数認められた.黄褐色の胸水が多量に貯留していた.肺胸膜は胸壁と癒着し,右肺前葉は暗赤色化及び硬化を呈し,割面は大理石紋様を呈していた.

 組織学的に,大脳,小脳,中脳,橋,延髄及び脊髄において,神経網の粗鬆化,微小膿瘍,血栓,出血,血管壁のフィブリノイド変性及び血管炎が多発していた(図19).肺では,肺胸膜下及び小葉間結合組織の水腫と線維素析出,並びに実質の多発性凝固壊死がみられ,壊死巣周囲には燕麦細胞が集簇していた. マウス抗Histophilus somni 抗体(動衛研,茨城)を用いた免疫組織化学的検査では,大脳及び肺の病変部に一致して陽性反応が認められた.

 病原検索では,大脳及び肺からH. somni ,また肺からMycoplasma bovis が分離され,PCR で大脳及び肺からH. somni 特異遺伝子が検出された.

 以上より,本症例は牛のヒストフィルス・ソムニ感染症(敗血症・髄膜脳脊髄炎型)と診断され,大脳での壊死病変形成が特徴的であった.

化膿性壊死性脳炎