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20 牛の大脳におけるHistophilus somni による血栓形成及び血管炎を伴う化膿性線維素性髄膜脳炎 〔山本 逸人(滋賀県)〕

 黒毛和種,雄,10カ月齢,斃死例(死後約8時間).繁殖和牛20頭,肥育牛700頭の繁殖・肥育農場で,2016年3月24日に他県より導入された肥育牛が4月27日に急死したため,病性鑑定を実施した.

 剖検では,脳で血管充盈,髄膜の肥厚及び混濁が認められ,脳底側では髄膜の水腫性肥厚が顕著であった.

 組織学的に,大脳では灰白質で微小膿瘍が多発し,髄膜で血栓及び血管炎が散見され,好中球浸潤,線維素析出,水腫性肥厚が顕著に認められた(図20).血栓は頭頂葉で最も多く認められたが,化膿性病変は前頭葉でより重度であった.中脳,小脳及び橋でも化膿性病変が認められたが,大脳より軽度であった.その他,腎臓及び心臓においても化膿性病変が散見された.マウス抗Histophilus somni 抗体(動衛研,茨城)を用いた免疫組織化学的検査では,大脳等の化膿性病変部に加え,病巣周囲の血管内にも陽性反応が認められた.

 病原検索では,肺から少量,脳から多量のH. somni が分離された.

 以上より,本症例は牛のヒストフィルス・ソムニ感染症(敗血症・髄膜脳脊髄炎型)と診断された.本症例では壊死性病変に乏しく,髄膜炎が顕著であることが特徴的であった.

化膿性線維素性髄膜脳炎