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22 牛死産胎子のNeospora caninum による非化膿性脳炎 〔鬼塚 康晴(宮崎県)〕

 ホルスタイン種,雄,胎齢7カ月.乳用牛50頭を飼養する農場で,2015年3月21日に死産が発見され,翌22日病性鑑定に供された.母牛は3産目であり,異常産歴は確認されていない.

 剖検では,全身諸臓器が自己融解に陥り脆弱であったが,主要臓器に著変は認められなかった.

 組織学的に,大脳では原虫のシスト及びミクログリア増殖を伴う巣状壊死が散発していた(図22).脊髄では腹角にミクログリア浸潤,肝臓では多発性の肝細胞巣状壊死が認められた.腎臓では間質に,心臓,骨格筋及び舌では筋線維間にリンパ球の浸潤が認められた.ヤギ抗Neospora caninum 血清(VMRD社,U.S.A.) を用いた免疫組織化学的検査で,大脳の原虫シストが陽性を示した.

 細菌学的検査では,脳及び主要臓器から病原細菌は分離されなかった.ウイルス学的検査では,母牛血清を用いた中和抗体検査の結果,シャモンダウイルスの抗体価は128倍,アイノ,アカバネ,チュウザン,ピートン,牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルス抗体価は2倍未満であった.母牛血清を用いた間接蛍光抗体法の結果,N. caninum の抗体価は800倍であった.

 以上から,本症例は牛のネオスポラ症と診断された.組織像は典型例であると考えられた.

グリア結節及びネオスポラ原虫