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23 子牛の大脳皮質における層状壊死 〔安藤 正視(高知県)〕

 ホルスタイン種,雌,5カ月齢,鑑定殺.乳肉複合経 営農家で,2016年4月8日に子牛1頭が突然起立不能を 呈した.翌日,開業獣医師により泡沫性流涎,瞳孔散大, 遊泳運動が確認され,抗生剤とチアミン製剤が投与され たが症状は改善しなかったため,4月12日に病性鑑定 が実施された.

 剖検では,大脳髄膜の血管充盈がみられ,頭頂葉を中 心に前頭葉,後頭葉及び側頭葉の実質が淡黄色化してい た.波長365nmの紫外線照射にて,淡黄色化領域に一 致して自家蛍光が確認された.同部位割面の皮質表層は 層状に自家蛍光を呈していた.また,頸部最長筋に重度 の出血巣が認められた.

 組織学的には,大脳で,髄膜から大脳皮質表層にマク ロファージが浸潤しており,それは髄膜の血管周囲で顕 著であった.また,大脳皮質深層で神経細胞は乏血性に 萎縮し,変性・壊死した神経細胞周囲の空胞化,神経網 の粗鬆化が顕著で,血管周囲腔は拡張し,血管内皮細胞 は腫大していた(図23A,B).頸部最長筋では重度に 出血し,好中球を主体とした炎症性細胞が浸潤し,筋線 維が大小不同と硝子様変性を呈していたが,他の骨格筋 に著変はなく,その他の臓器にも著変はなかった.

 細菌学的検査では,大脳,肝臓,腎臓,脾臓,心臓及 び肺から病原細菌は分離されなかった.血清生化学的検 査では,LDH>900U/l,CPK<2,000U/mlであった. チアミン濃度測定は実施されなかった.

 以上から,本症例は牛の大脳皮質壊死症と診断され た.

子牛の大脳皮質における層状壊死