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29 豚の空腸におけるCystoisospora suis の寄生がみられたA 群ロタウイルスによる絨毛の萎縮 〔金森健太(静岡県)〕

 LWD,雌,60日齢,鑑定殺.2016年4月6日,母豚40頭規模の一貫経営農家で,灰色水様下痢の症状を呈した60日齢の豚からA群ロタウイルスの特異遺伝子が検出された.その後も下痢が継続し,斃死豚も認められたため,生体3頭の病性鑑定を実施した.

 外貌検査では被毛粗剛,削痩,元気消失,剖検では,小腸の菲薄化,下顎,耳下リンパ節の膿瘍,及び肺の退縮不全が認められた.

 組織学的に,空腸では全周性に絨毛が萎縮し,粘膜上皮細胞内にコクシジウムのメロゾイトやメロントが認められた(図29A,B).ほかに心外膜や大脳髄膜での炎症細胞浸潤及び肺の肺胞中隔の肥厚がみられた.家兎抗A群ロタウイルス血清(動衛研,茨城)を用いた免疫組織学的染色では空腸で,家兎抗PCV2血清(動衛研,茨城)では肺,空腸,回腸,リンパ節及び扁桃で,家兎抗大腸菌O8群血清(デンカ生研)では大脳髄膜でそれ ぞれ陽性反応がみられた.

 病原検査では,飽和食塩液浮遊法によりコクシジウムのオーシスト(OPG 8,800)が検出された.空腸の遺伝子検査でコクシジウムはCystoisospora suis と同定された.小腸の大腸菌定量培養は,2.0×108 CFU/gで,毒素因子は検出されなかった.脾臓から分離された大腸菌の血清型はO8で,毒素因子(ST)を保有していた.

 本症例では,絨毛の萎縮が目立ち,A群ロタウイルスとCystoisospora suis が小腸の病変形成に関与したと考えられた.

絨毛の萎縮