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38 鶏のヒストモナス原虫寄生による回腸炎 〔原 陽子(島根県)〕

 ボリスブラウン種,雌,50日齢,鑑定殺.約5,600羽を 飼養する平飼い採卵鶏農場で,38日齢で導入した鶏群 において導入10日後に元気消失が認められた.50日齢 時に衰弱鶏2羽について病性鑑定を実施した.

 剖検では,2羽に共通して盲腸粘膜の出血がみられ, 内腔にはチーズ状凝固物を容れていた.また,1羽では 回腸下部の著しい膨満及び腸壁の肥厚がみられた.

 組織学的に,回腸下部では,粘膜固有層に弱好酸性, 円形から不定形の原虫が多数観察され(図38A),周囲 には偽好酸球を主体とした炎症性細胞浸潤がみられた. 同症例の盲腸では粘膜が広範に壊死・脱落し,線維素の 析出及び細菌塊を伴う偽膜の形成がみられた.粘膜固有 層から筋層にかけて回腸下部と同様の原虫が多数みら れ,リンパ球,マクロファージ等の浸潤により腸管壁は 肥厚していた.原虫はPAS反応に陽性を示した.また, 感染鶏群から採材した鶏血清を用いた免疫染色では,原 虫に一致して陽性反応がみられた(図38B).

 病原検査では,回腸及び盲腸のパラフィン包埋切片か ら抽出したDNAを用いた遺伝子検査において, Histomonas meleagridis の特異遺伝子が検出された. 浮遊法による糞便内寄生虫卵検査でコクシジウムオーシ ストは検出されなかった.

 以上から,本症例は鶏のヒストモナス病と診断され た.

回腸炎