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7 牛の腹膜及び腸間膜に認められたActinobacillus lignieresii による多病巣性化膿性肉芽腫 〔上野山 慧(動物検疫所)〕

 雑種,去勢雄,8〜12カ月齢,斃死例(死後約1〜2 時間).2015年10月21日に豪州より輸入された肥育用 素牛960頭中の1頭で,生前に異常所見は認められず, 活力及び食欲は良好であったが,検疫7日目の13時半 頃斃死した.

 剖検では,腹膜及び腸間膜に直径0.5〜2cmの多数の 結節形成,結節周囲での出血,及び腹膜と腸管との癒着 が認められた.結節の割面は白色充実性であった.腸間 膜リンパ節は重度に腫脹していた.肺と気管支粘膜の点 状出血,気管内の泡沫液貯留,並びに空腸粘膜の充うっ 血及び限局的な肥厚が認められた.

 組織学的には,腹膜及び腸間膜の結節は,中心部に桿 菌の集塊を取り囲むアステロイド体が存在し,その周囲 には多数の好中球が集蔟し,その辺縁にマクロファー ジ,線維芽細胞,新生血管が分布し,線維性結合織により被包されていた(図7).家兎抗A. lignieresii 血清(動衛研,茨城)を用いた免疫染色では,菌塊に一致して陽 性反応がみられた.その他,肺で軽度な出血が散発的に みられ,気管支腔内には食渣,菌塊,細胞退廃物が限局 的にみられた.空腸粘膜で軽度な単核細胞浸潤が散発的 にみられ,コクシジウムのシゾントが少数認められた.

 病原検査では,腹腔内結節からグラム陰性長短桿菌が 分離され,16S rRNA遺伝子領域のシーケンスにより A. lignieresii と同定された.

 以上より,本症例は牛の腹腔におけるアクチノバチルス症と診断された.

多病巣性化膿性肉芽腫