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8 子牛の肝臓の牛アデノウイルス(BAdV)4型による核内封入体が認められた多発性巣状壊死 〔岡田 大輔(鹿児島県)〕

 黒毛和種,雄,16日齢,鑑定殺.2016年3月26日,当該牛を含む30日齢未満の子牛3 頭で粘血下痢や活力低下がみられた.30日に当該牛が起立不能,意識混濁及び後弓反張を呈したため,病性鑑定を実施した.ワクチンは未接種であり,抗生剤等による加療がされていた.

 剖検では,肝臓の軽度褪色,大脳前頭葉の暗色化,及び脳脊髄液の混濁と増量が認められた.

 組織学的に,肝臓では小壊死巣が散在して認められ,類洞にわずかに好中球がみられた(図8A).肝細胞や類洞内皮細胞には両染性の核内封入体が散見され,Cowdry A 型がやや多い傾向にあったが,full型も認められた(図8B).同様の封入体は肺,腸管,心臓,腎臓,大脳,及び脊髄の小血管内皮細胞の核内にも観察された.空・回腸では,粘膜上皮細胞にクリプトスポリジウムの寄生が多数認められ,絨毛は軽度に萎縮し,腸陰窩に細胞退廃物の貯留が多くみられた.大脳ではグラム陽性菌を伴う化膿性髄膜脳炎,脊髄では重度の化膿性髄膜炎が認められた.

 病原検査では,肝臓,肺,及び腸管を用いたPCR 検査で,BAdVに特異的な遺伝子が検出され,遺伝子解析の結果,BAdV4型と同定された.主要臓器から細菌は分離されなかった.

 以上から,本症例は牛アデノウイルス病,細菌性髄膜脳炎,及びクリプトスポリジウム症の複合感染と診断された.一般症状の悪化には,BAdV4型も何らかの形で関与したのではないかと考えられた.

多発性巣状壊死