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9 子牛の銅中毒による肝細胞のび漫性空胞変性・壊死 と胆汁栓形成 〔阿部 祥次(栃木県)〕

 黒毛和種,雄,2カ月齢,斃死例(死後約2 時間). 当該牛は2015 年9月26日に食欲廃絶を呈し,9月29 日に低体温(35.5℃)と激しい痙攣を呈し斃死した.発 育が良かったため,本来3 カ月齢以降に給与すべき配合 飼料を給与し,総合ビタミン剤及びミネラル(ペプチド 銅含有)の添加を行っていた.

 剖検では,皮下と肝臓の黄疸,胆汁貯留による胆囊拡張,腎臓の暗黒色化及び肺の充血が認められた.

 組織学的には,肝細胞では,小葉中心部から辺縁にか けてび漫性に空胞が形成され,肝細胞索の解離や,好酸 性化及び核の消失を示す多発性の肝細胞壊死が認められ た(図9).また,しばしば胆汁栓の形成が観察され, クッパー細胞による淡褐色顆粒状物の貪食が散見され た.特殊染色では,おもにクッパー細胞でPAS反応陽 性,ロダニン染色陽性の顆粒が認められた.腎臓では, 腎皮質の尿細管上皮細胞に好酸性顆粒状物質がしばしば 観察され,髄質を主体として硝子円柱が散見された.また,腎皮質尿細管上皮細胞内にロダニン染色陽性顆粒が 散見された.その他,化膿性肺炎と大脳皮質中層~深層 における軽度の層状海綿状変化及び神経細胞の乏血性変化が認められた.

 細菌学的検査では,病原細菌は分離されなかった.

 生化学的検査では,肝臓の銅含量が339μg/gと高値を示した(動衛研で検査).

 以上から,本症例は子牛の銅中毒と診断された.原因は銅の過剰摂取によるものと考えられた.

胆汁栓形成