日本脳炎ワクチン接種で免疫

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家畜
伝染病

牛、水牛、鹿、馬、めん羊、山羊、豚、いのしし

特徴

日本脳炎日本脳炎ウイルスによって起こる日本脳炎は、「流行性脳炎」として家畜の法定伝染病に指定されている。蚊がウイルスを媒介し、吸血によって家畜や人への感染が起こる。

日本脳炎ウイルスは馬と人では脳炎を起こすが、豚では妊娠豚の死流産の原因となる。脳炎を起こした馬では、発熱だけで回復する例もあれば、麻痺(まひ)や興奮を示し、重症の場合は死亡することもある。

豚がウイルスに感染しても症状を示すことはほとんどないが、免疫を持たない妊娠豚が感染すると、分娩(ぶんべん)した子豚の約40%に異常子が発生する。白子、黒子、ミイラ化胎子といった大小の死亡子豚が娩出される例や、生後まもない子豚がけいれん、震え、旋回、麻痺といった神経症状を示して斃死(へいし)する例がある。

種雄豚が感染すると交尾欲が減退し、精液性状が異常となる。症状の有無にかかわらず、ウイルスに感染した豚は血液中に大量のウイルスを保有する。吸血した蚊を有毒化することから、ウイルスの増幅動物とされる。


対策

日本では豚、馬用にワクチンが市販されている。母豚に対しては、ウイルス流行開始時期までに十分な免疫を与えることによって異常産を予防する。

馬では飼養目的や地域によってワクチン接種の方法や状況も異なるが、競走馬には、生産地での育成段階で2回の接種を行い、その後、毎年2回の補強接種を行う。

[写真:日本脳炎による豚の死産(黒子と白子、ミイラ胎子)]

(動物衛生研究所 白藤浩明)

参考情報

・家畜の監視伝染病 流行性脳炎


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年12月26日、18面。

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