アナプラズマ症輸入牛の飼育時に注意

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家畜
伝染病

牛、水牛、鹿

特徴

アナプラズマ症本症は、牛の赤血球内に寄生する細菌、アナプラズマ・マージナーレの感染を原因とする。オウシマダニの吸血によって媒介されるため、このダニが分布する東南アジア、オーストラリア、中近東、アフリカ、中南米諸国や米国に発生がある。現在わが国には発生がない。

一方、国内に広く分布するアナプラズマ・セントラーレは牛に感染しても通常は病原性を示さないので、本症の病原体に指定されていない。アナプラズマ・セントラーレの媒介者は明らかではない。

アナプラズマ・マージナーレに感染すると2~5週間で発熱、貧血、黄疸を起こし、重症の場合は死亡する。回復した場合でも菌を生涯にわたり保有する。

沖縄県ではかつて本症が常在していたが、オウシマダニの撲滅により発生が終息した。しかし、2007年と2008年に高齢牛各1頭が発症した。これらの牛には、オウシマダニ撲滅以前にアナプラズマ・マージナーレが感染しており、妊娠ストレスのため再増殖が起こり発症に至った事例である。


対策

動物検疫所において輸入牛の検疫が実施されている。しかしながら、輸入直前に感染した牛や、過去に感染歴のある牛は、体内の菌がわずかなため感染を摘発できない場合がある。これまでに、輸入検疫を通過した感染牛の発症事例が3件、11頭認められている。牛を輸入した場合は飼育期間中、特に放牧開始や妊娠などストレスがかかる時期に注意が必要である。

発症牛は法律に基づき処分する。

現時点では国内に媒介ダニがいないため、発生しても蔓延するリスクはほぼない。オウシマダニの侵入に注意が必要である。

[写真:赤血球内のアナプラズマ・マージナーレ(紫色の小点)]

(動物衛生研究部門 中村義男)

参考情報

・家畜の監視伝染病 アナプラズマ症


情報公開日:2015年11月11日

情報更新日:2021年3月15日

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