豚インフルエンザ消毒、隔離で拡大防止

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特徴

豚インフルエンザ豚インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスの感染により起こる豚の急性呼吸器疾患である。

感染した豚の集団では、発熱、せき、くしゃみ、食欲不振などが見られ、人のインフルエンザの症状に似ている。通常は感染4~7日で回復し致死率は1%以下と低いが、同じ群内での感染率は高い。不顕性感染も知られており、特に肥育期前の離乳豚がウイルスを保有していることが多い。

ウイルスを含んだ鼻汁、せきなどによる飛沫(ひまつ)感染やウイルスに汚染されたものなどから感染が拡大する。豚群内での感染拡大には、他農場からの豚の導入、農場内での豚の移動、豚舎内の環境などの要因が関わっていると考えられている。

英国の試算では、豚インフルエンザの高い感染率と食欲不振による肥育効率の低下による経済的損失は、主要な感染症の中でも最も高いと見積もられている。


対策

根本的な治療法はなく、対症療法と二次感染防止によって重症化を防ぐ。ワクチンによる予防が一般的であるが、インフルエンザウイルスの抗原性は変化しやすいため効果が不十分な場合がある。

豚は、人と鳥のインフルエンザウイルスにも感染し、そこから人に感染する新たなパンデミックウイルスが生じる可能性があるため、インフルエンザの症状を示している人の豚への接触を避けたり、野鳥が畜舎へ侵入することを防ぐことも必要である。農場内の消毒や症状を示す豚の隔離も感染拡大を防ぐ重要な対策となる。

[写真:インフルエンザウイルスに感染し、痩せ細った離乳豚]

(動物衛生研究部門 内田裕子)

参考情報

・疾病情報 豚インフルエンザ
・研究活動報告 鳥インフルエンザ防疫システムの構築
・よくあるご質問 豚インフルエンザQ&A


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年4月24日、16面に掲載。

情報更新日:2021年3月15日

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