ワラビ中毒飼料への混入を防ぐ

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その他

牛、馬、めん羊、山羊

特徴

ワラビ中毒ワラビ中毒は、ワラビの過剰摂取により起こる中毒だ。牛と馬では古くから報告されているが、めん羊や山羊での発生はまれ。ワラビにはさまざまな有毒物質が含まれており、牛ではプタキロシド、馬ではチアミナーゼが中毒の原因となる。牛と馬ではワラビ中毒の発病メカニズムや病態が異なっている。

牛のワラビ中毒には急性中毒と慢性中毒がある。短期間に大量のワラビを摂取すると急性中毒に陥り、骨髄の造血機能低下と全身粘膜の出血を特徴とする症状を起こし、発症後数日以内に高率で死亡する。慢性中毒では、ぼうこうに腫瘍ができ、血尿が見られることが特徴的な症状だ。腫瘍の治療は困難で、予後不良になることが多い。

馬のワラビ中毒では多発性神経炎が引き起こされ、起立不能やけいれんなどを起こす。

日本では1960年代に造成された牧野でワラビ中毒が多発し、大きな問題であったが、牧野の整備が進むとともに減少していた。しかし、1990年代後半から、牛の放牧場では急性中毒、慢性中毒ともに散発しているのが現状である。


対策

中毒が早期に発見できた場合に限り、治療が可能であることがある。特に、馬の中毒には発見が早ければチアミン投与が有効である。

中毒の予防にはワラビの採食機会を可能な限りなくすことが大切だ。牧草地からのワラビの根絶や給与飼料へのワラビの混入防止などが求められる。

[写真:急性ワラビ中毒を起こした牛の鼻腔からの出血]

(動物衛生研究部門 山中典子)

参考情報

・写真で見る家畜の有毒植物と中毒 ワラビ


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年11月28日、14面に掲載。

情報更新日:2021年3月15日

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