アカバネ病初夏前 ワクチン接種

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届出
伝染病

牛、水牛、めん羊、山羊

特徴

アカバネ病アカバネ病は、アカバネウイルスを原因とする、牛、水牛、めん羊、山羊の届け出伝染病だ。ウイルスに感染しても成獣はほとんど症状を示さないが、妊娠母獣ではウイルスが子宮内の胎子に感染した場合、胎齢によっては流産や早産、死産に加えて先天異常子の出産(いわゆる異常産)が起こる。

先天異常子には、脊柱や四肢の湾曲、大脳の欠損などの奇形が見られる。2006年と11年には、アカバネウイルス変異株による子牛や成牛の脳脊髄炎が流行し、まひや起立不能などの神経症状を示す例もあった。

アカバネウイルスは、体長1~3ミリの吸血昆虫であるヌカカが媒介する。牛などの脊椎動物の間で直接伝染することはない。初夏から秋にかけてはヌカカの個体数が増加するため、ウイルスに感染しやすくなる。ウイルスの感染と異常産の発生時期にはずれがあり、奇形子牛の出産は晩秋から翌春にかけて起こる。

アカバネウイルスは夏期に発生する季節風により、ウイルスを保有したヌカカと共に海外から侵入すると考えられている。日本では毎年行う牛の抗体保有状況の調査により、ウイルスの侵入が監視されている。


対策

ウイルスの感染がしやすくなる初夏前に、母獣にワクチンを接種することにより異常産を予防する。異常産ワクチンにはアカバネ病単独のものと、他のウイルス病も加えた混合ワクチンがある。

[写真:アカバネウイルスを媒介するヌカカの一種、ウシヌカカ(横棒は、0.5ミリ) ]

(動物衛生研究所 梁瀬徹)

参考情報

・家畜の監視伝染病 アカバネ病
・疾病情報 おとり牛を用いたアカバネ病等の抗体調査


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2013年1月23日、14面に掲載。

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