萎縮性鼻炎清浄な豚導入し予防

  • 鹿
  • めん羊・山羊
  • その他・家きん
  • 蜜蜂
  • その他・家畜

届出
伝染病

豚、いのしし

特徴

萎縮性鼻炎萎縮性鼻炎は、細菌であるボルデテラ・ブロンキセプティカと毒素産生性のパスツレラ・マルトシダの単独、あるいは混合感染による鼻甲介の形成不全や萎縮を伴う呼吸器病で、豚といのししの届出伝染病に指定されている。

感染日齢が低いほど強い症状と病変を示し、初期には鼻汁の漏出などの一般的な呼吸器症状の他、くしゃみが頻発すると鼻出血を起こす。鼻粘膜の炎症が涙管に及ぶと流涙が起こり、ほこりや泥などが涙で体毛に付着してアイパッチと呼ばれる黒色の斑点が生じる。重症例では上顎(じょうがく)や鼻甲介周辺の骨の発達が阻害され、鼻曲がりと呼ばれる鼻梁(びりょう)の湾曲が見られる。

本病は世界各国、日本各地に存在する。病豚や保菌豚が感染源となり、個体の接触や飛沫(ひまつ)感染により伝播(でんぱ)する。2種の原因菌は健康豚も保菌しており、単独でも軽度の呼吸器症状を起こすことがあるが、混合感染時に症状が重篤化する。


対策

保菌豚の導入により本病が侵入することが多いため、清浄な農場から豚を導入するなどの予防対策が極めて重要である。また、妊娠豚や子豚用の種々のワクチンがあるが、分娩(ぶんべん)舎や離乳舎の消毒、衛生管理を徹底することがワクチンや薬剤による防除対策の効果を上げる。治療にはサルファ剤、テトラサイクリンおよびカナマイシンなどの抗生剤が用いられる。

[写真:萎縮性鼻炎で、アイパッチと鼻曲がりを示す豚]

(動物衛生研究所 上野勇一)

参考情報

・家畜の監視伝染病 萎縮性鼻炎


情報公開日:「家畜疾病図鑑」 『日本農業新聞』 2013年7月24日、14面に掲載。

© Copyrights 2014 National Institute of Animal Health All Rights Reserved.