豚丹毒ワクチン接種で予防

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届出
伝染病

豚、いのしし

特徴

豚丹毒豚丹毒菌の感染による豚といのししの届出伝染病。豚丹毒菌は、豚やいのしし以外に、人を含む哺乳類や鳥類にも感染することもある。年間約2000頭の発生が報告され、さらにと畜場でも毎年ほぼ同数の豚が豚丹毒と診断され、と畜禁止または全廃棄処分されている。近年はワクチン接種率の低下が懸念されている。

感染した豚は、急性の敗血症型、亜急性のじんましん型、慢性型の関節炎や心内膜炎などのさまざまな症状を示す。

敗血症型の場合、40度以上の高熱が突発し1、2日で急死する。じんましん型は、発熱や食欲不振などの後に菱形疹(りょうけいしん)と呼ばれる特徴的な皮膚病変を示すが、死ぬことは少ない。

慢性型は、時間がたって起こることが多く、四肢の関節は関節炎によって硬く腫れて痛みのため歩行障害を起こすこともある。心内膜炎の多くは無症状で、と畜後に発見される。


対策

治療には、ペニシリン系抗生物質が有効だ。生ワクチンおよび不活化ワクチンにより予防できる。生ワクチンは、1回の接種で十分な免疫を付与できるが、移行抗体を持つ個体ではワクチン効果が低下する。不活化ワクチンは、2回接種が必要で免疫獲得までに時間がかかるなどの特徴がある。

ワクチンは対象となる豚の特性や農場の実態などに合わせて選択し、適切な時期に接種することが大切だ。豚丹毒の予防には、日頃の飼養管理、衛生管理も重要であることを忘れてはいけない。

[写真:豚丹毒菌を接種した豚に見られた淡紅色の菱形疹]

(動物衛生研究所 小川洋介)

参考情報

・家畜の監視伝染病 豚丹毒


情報公開日:「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2011年7月27日、14面に掲載。

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