鶏伝染性気管支炎気管支炎だけではない多彩な症状

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届出
伝染病

特徴

鶏伝染性気管支炎鶏伝染性気管支炎は、鶏伝染性気管支炎ウイルスの感染による急性呼吸器病で、鶏の届出伝染病である。日本を始め全世界に広く分布している。本病は鶏の品種、性、日齢に関係なく発生し、呼吸器症状を主徴とするが、腎炎、産卵率の低下、下痢および奇形卵の産出等多彩な症状を示す。また、細菌等の二次感染により、病態が複雑化するとともに死亡率が高まる。

鶏伝染性気管支炎ウイルスの伝播力は非常に強いが、単独の感染による致死率は一般的に低く、潜伏期が1~3日間と短いことが特徴である。ただし、腎臓に病変が形成された場合や幼雛で発症した場合には死亡率が高くなる傾向がある。病気の経過は比較的短いが、ウイルスは呼吸器や糞便から長期間検出される。

ウイルスは汚染空気、感染鶏の導入、汚染された器具や人によって伝播し、呼吸器や眼粘膜から感染する。感染鶏の排泄物を発育鶏卵に接種すると、鶏胚の矮小化(わいしょうか)やカーリングと呼ばれる特徴的な体形異常が認められる(写真)。


対策

本病の予防のために多種多様な生および不活化ワクチンが世界中で広く使用されているが、ワクチン株と野外流行株との抗原性が異なる場合には、十分な予防効果が期待できないこともある。
感染鶏は持続感染により長期間ウイルスを保有して新たな感染源となるため、発症個体は直ちに殺処分することが望ましい。一般の消毒薬が有効である。

[写真:写真左は鶏伝染性気管支炎にかかった鶏からの排泄物を接種した卵で見られた奇形胚、右は同日齢の正常胚]

(動物衛生研究所 井関博)

参考情報

・家畜の監視伝染病 鶏伝染性気管支炎


情報公開日:2015年6月10日

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