ニューカッスル病(Newcastle disease)
1.原因
ニューカッスル病ウイルス(Newcastle disease virus)、パラミクソウイルス科に分類されるマイナス1本鎖のRNAウイルスでエンベロープを保有している。OIEの定義を満たす病原性株によって起こる疾病をニューカッスル病と定義する。この病原性は初生ヒナ脳内接種試験あるいはF蛋白開裂部位のアミノ酸配列で定義される。
2.疫学
ニューカッスル病ウイルスは感染鶏から鼻水、涙、排泄物に多量のウイルスが排泄されて、鶏群内で伝播する。ウイルス保有鶏の導入、感染野鳥の侵入、汚染物あるいは人による持込によって他の鶏群に伝播する。
3.臨床症状
発症鳥は、緑色下痢便、奇声や開口呼吸などの呼吸器症状、脚麻痺や頚部捻転などの神経症状を示す。
4.病理学的変化
内臓強毒型では、肉眼的には消化管のリンパ組織(腺胃、小腸パイエル氏板、盲腸扁桃など)の出血・壊死が特徴的である。また、脾臓の白斑、結膜炎がみられる。組織学的には、脾臓の多発性巣状壊死、肝臓類洞の血栓形成、ファブリキウス嚢、胸腺、腸管リンパ組織などにおけるリンパ球壊死・消失、マクロファージ増殖、偽好酸球浸潤、出血がみられる。骨髄の壊死もみられる。結膜では、結膜上皮細胞増殖、結膜上皮下組織の血管壊死、血栓、出血、水腫がみられる。強毒神経型では、脳脊髄における非化膿性脳炎、膵臓の壊死がみられる。
5.病原学的検査
ウイルス分離は、検査材料を10日齢前後の発育鶏卵尿膜腔内あるいは組織培養細胞に接種して行う。抗NDV血清を用いた赤血球凝集抑制試験(HI)、中和試験で同定する。ウイルスを分離した後、F蛋白開裂部位のアミノ酸配列を決定しその病原性を推定する。
6.抗体検査
ペア血清でのHI抗体価上昇などをみる。
7.予防・治療
ワクチンにより予防する。ワクチンプログラムにより適正にワクチン接種を行う。
8.発生情報
9.参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)、鳥の病気第7版(鶏病研究会)、家禽疾病学第2版(鶏病研究会)
編集:動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)