家畜伝染病

家きんサルモネラ症(salmonelosis in chickens:only salmonelosis caused by pathogens Ministerial Ordinance)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:鶏、あひる、七面鳥、うずら

1.原因

 

 家畜伝染病予防法ではSalmonella serovar Gallinarum(サルモネラ ガリナルム) biovar Pullorum(生物型プローラム)及びbiovar Gallinarum(生物型ガリナルム)感染による鶏の疾病を家畜伝染病(法定伝染病)における「家禽サルモネラ感染症」と定義している。ひな白痢は前者による感染症で2週齢までの幼雛に発生する。鶏チフスは後者による感染症で中大雛や成鶏での発生が多い。

 

 

2.疫学

 

 主な伝播経路は介卵感染及び同居感染である。かつては全国的に発生が見られたが、全血急速凝集反応による保菌鶏の摘発淘汰が進み、ひな白痢の発生は著しく減少した。わが国では鶏チフスの発生報告はない。

 

 

3.臨床症状

 

 介卵感染による急性例では特に症状を示さないで死亡する場合がある。ひな白痢の一般症状としては元気・食欲消失、羽毛逆立て、灰白色下痢による総排泄口周囲の汚れなど。中大雛及び成鶏では症状を示さず、一部は保菌鶏となる。鶏チフスの一般症状はひな白痢と同じであるが、中大雛や成鶏で発症する。

 

 

4.病理学的変化

 

 孵化後数日以内に死亡・淘汰された幼雛では卵黄嚢吸収不全以外の病変は少ない。中大雛では遺残卵黄、肝臓・脾臓の腫大、肝臓の小壊死巣(チフス結節)などが認められる。無症状で経過している保菌成鶏では病変は認められないが、産卵率の低下などを示す例では異常卵胞、卵墜性腹膜炎、卵管炎などが認められることがある。

 

 

5.病原学的検査

 

 定法による菌分離と血清型別を実施する。

 

 

6.抗体検査

 

 全血急速凝集反応:市販のマラカイトグリーン染色診断液1滴と全血1滴をガラス平板上で混合し、凝集の有無を確認する。なお、国内の検査に使用される診断液は動物衛生研究所で製造している。

 

 

7.予防・治療

 

 保菌鶏の摘発・淘汰を基本とし、治療は行わない。

 

 

8.発生情報

 

 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報

 

 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、鳥の病気第6版(鶏病研究会)、家禽疾病学第2版(鶏病研究会)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)



編集:動物衛生研究部門

(令和3年12月 更新)

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