馬インフルエンザ(equine influenza)
対象家畜:馬
1.原因
オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae) A型インフルエンザウイルス(influenza A virus)。ゲノムは一本鎖(-)RNAで、8本の分節で構成。血清亜型は今までに1型と2型の2つの亜型があり、前者はH7N7 、後者はH3N8である。
2.疫学
年齢や季節に関係なく発生する。咳などで排泄されたウイルスを含む飛沫によって伝播する。1型は1978年まで発生が確認されたが、以降報告されておらず、近年流行しているのは2型だけである。
3.臨床症状
感染馬は1〜3日の潜伏期間で40〜41℃の高熱を発し、激しい乾性の咳とともに多量の水様性の鼻汁を呈する。二次感染がなければ2〜3週間で回復する。
4.病理学的変化
気管支粘膜にウイルスが感染することで、気管支炎を起こす。死亡例では肺水腫と胸膜炎を伴う気管支炎が認められる。
5.病原学的検査
鼻汁を材料とし、発育鶏卵尿膜腔内接種によるウイルス分離検査を実施する。近年では迅速な防疫対応をとるために、RT-PCR法によるウイルス遺伝子検出も頻繁に行われるようになった。
6.抗体検査
感染馬の急性期と回復期のペア血清を用いた赤血球凝集反応抑制試験(HI)。
7.予防・治療
不活化ワクチンがわが国では使用されている。
8.発生情報
9.参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、馬の感染症第4版(JRA総研)、馬インフルエンザ第3版(中央畜産会)
編集:動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)