アカリンダニ症(acarapisosis of honey bees)
対象家畜:蜜蜂
1.原因
前気門目ホコリダニ科のアカリンダニ(Acarapis woodi)で、成蜂の前胸部気管に寄生する。英名はtracheal mite。病原性は弱く、宿主への影響は気管の物理的閉塞に由来すると考えられている。ダニの大きさは雌;143〜174μm×77〜81μm、雄;125〜136μm×60〜77μm。
2.疫学
アカリンダニ症のまん延には蜂・蜂の直接接触によるダニの伝播が欠かせないため、蜂群間の伝播には蜂の迷い込みが要因として重要といわれている。蜂の個体数が増加する春から夏には寄生蜂は減少するといわれることから、ダニ寄生のまん延速度は緩やかであると考えられる。重度寄生があると飛翔不能などが出現するが、特徴的症状は無い。重感染群では越冬期の蜂数の激減などがみられる。平成21年に初めて国内への浸潤が確認され、翌年ニホンミツバチにおける本症の発生が報告された。
3.臨床症状
感染しても多くは無症状であるが、重度寄生があると、呼吸困難、飛翔不能などが出現する。重感染群では越冬期の蜂数が激減する。
4.病原学的検査
病峰の気管内を直接鏡検してダニを検出する。
5.発生情報
6.参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、病性鑑定マニュアル第3版(全国家畜衛生職員会)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)
編集:動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)