イヌスギナ

学名:Equisetum palustre L.

英名:marsh horsetail

イヌスギナは河原などの日当たりの良い湿地に群生するトクサ科の夏緑性の多年生草本で、長野から関東地方以北の本州と北海道に多くみられます。根茎は地下を縦横に伸び、地上茎は20〜60cmほどの高さになります。茎の上半部に規則正しく枝が輪生します。主軸の先は長く伸びて枝がつきません。スギナ(E. arvense)は、胞子嚢穂をつけない茎には枝が輪生し、つける茎(胞子茎)は葉緑体を持たずに淡褐色で、いわゆるツクシ(土筆)になります。これに対してイヌスギナでは胞子嚢穂をつける茎とつけない茎が同じ形をしています。

(写真はすべて九州沖縄農業研究センター(現 秋田県立大)森田弘彦氏提供)

有毒成分

Equisetum属の植物は、アルカロイドのパルストリン(palustrineあるいはエキセチンequisetine)やニコチン(nicotine)を含んでいます(2)。また、エキセトニン(equisetonin)というサポニンやアコニット酸(aconitic acid)、ケイ酸(silicic acid)も含まれています。また、チアミナーゼも多く含んでいるようです(1)。しかし、後述のような中毒に、どの物質が関わっているのかは明らかにはなっていません。

中毒症状

イヌスギナによる家畜の中毒は古くから知られています(1)。わが国では1972年に埼玉県で発生した乳牛の中毒例が最初で(4)、その後も散発しているようです(3)。発生例はいずれも牧草地に混生したイヌスギナによるものです。中毒症状は、下痢、食欲不振、乳量低下で、給与後半日ぐらいで症状が現れるようです。中毒症状は3〜4日続きますが、しだいに回復します。死亡することはないようです。埼玉の事例では、イヌスギナが1.7%混入した牧草で中毒症状が現れたと報告されています(4)。

病理所見

牛の中毒事例では死亡に至ることが少ないため、病理所見の報告は見あたりません。馬の中毒では、骨格筋の褪色と弛緩、小脳と脊髄の髄膜の充血と水腫が観察されています。脳病変はチアミン欠乏あるいはワラビ中毒のそれに類似しています。

文献

1) Borg, P.J.V. 1971. Ecology of Equisetum palustre in Finland, with special reference to its role as a noxious weed. Ann. Bot. Fennici 8: 93-141.

2) Kamphues, J. 1990. Refusal of horsetail (Equisetum palustere) contaminated hay by bulls. Tierarztl. Prax. 18:349-351(in German).

3) 小寺文ら 2000. 転作牧草の利用によるイヌスギナ中毒の発生と対応。臨床獣医。18:55-50.

4) 馬場和雄ら 1976。乳牛のイヌスギナによる中毒。調査研究成績報告(家畜保健衛生業績発表収録、埼玉県農林部)。18: 19-24.

 

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最終更新日:2008.11.21 写真提供者の所属更新
        2018.2.8
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