発生すると出穂を阻害し、採種栽培で問題となる糸状菌病。春の終わりに止葉周辺の葉鞘を巻くようにして、がまの穂状に長さ1ー3cmの白色菌叢が形成される。この表面には多数の分生子が形成される。 |
全国で発生し、草地の夏枯の一因となる重要な糸状菌病。初め灰緑色、水浸状に葉が変色し、やがてゆでたように軟化していく。さらに病気が進むと、茎や葉が倒れて重なって腐り、これをつづり合わせるようにしてくもの巣状の菌糸が見られる。罹病植物上には、明褐色〜褐色、直径5mm程度の菌核が形成される。この時点で草地はつぼ状に枯れ、徐々に裸地化が進む。病原菌はほとんどのイネ科及びマメ科牧草を侵すきわめて多犯性の菌。
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ブルーグラスのさび病の中では、最も被害が大きい。葉の表に円形から長楕円形の夏胞子堆を形成し、表皮が破れて橙黄色の粉を飛散する。やがて夏胞子堆は葉表面に密生し、激発すると植物体全体が黄色く見える。冬胞子堆は黒色、長楕円形から線形、長く表皮に被われ、やや隆起する。 |
厳密には病害ではなく、葉上に腐生的に発生する。梅雨時から初夏にかけて初め白色の塊を形成するが、後に灰色の鳥糞状の小粒体となって葉に付着する。激発すると、菌体が広く散在するようになり、芝生では灰色のパッチ状になることもある。小粒体からは胞子が飛散して、風雨や芝刈り等により蔓延する。他のシバ類にも同様に発生し、わが国ではMucilago crustacea (ヤニホコリカビ)も原因菌として知られる。 |
進展すると多数の植物体の枯死を引き起こす糸状菌病。発生初期は楕円形から紡錘形の周辺部赤褐色の病斑が散発するが、病勢が進むと冠根部や根も侵し、株枯れを引き起こす。結果として芝地の衰退を引き起こし、"Melting-out"となる。病原菌はヘルミントスポリウム菌の一種。
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さび病の一種。葉、葉鞘および稈の表面に橙黄色、楕円形、長さ1mm程度の腫れ物状の病斑が縦に連なるようにできる。病斑は成熟すると表面が破れて夏胞子を飛散させる。冬胞子堆は葉では裏に生じることが多く、灰黄色、あまり隆起しない。病原菌はチモシーにも寄生する。 |
葉に発生する糸状菌病。病斑は黒色、長楕円形から短線形で、表面は盛り上がり、葉の上面に発生することが多く、大きさは0.2-5×0.1-1mmである。病斑周囲には初め黄色いハローが生じるが、これは徐々に消失し、後に病斑周囲だけが緑色を保つことがある。 |
さび病の一つであるが、被害はあまり大きくない。夏胞子堆は赤褐色から鉄さび色、楕円形から条状、大きさ1-2×0.5-1mm程度で、葉では両面に散在してしばしば融合し、不規則な形になる。夏から秋にかけて病斑は黒褐色の冬胞子堆となる。 |
北海道で発生する糸状菌病。6-7月頃よく目立つ。葉、葉鞘、稈に黒色粉状の条斑を形成する。この黒い粉は黒穂胞子で、病斑表面が破れて裸出し、風雨で飛散してまん延する。病斑部分は後に裂けてくることが多い。罹病株は萎縮し、出穂できないことが多い。
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うどんこ病は、日本では芝草類としてはブルーグラスにのみ発生する。病斑は初め葉身上の白い絹糸状菌叢であるが、すぐに拡大して相互に融合する。病斑はこのとき灰色に変わり、表面は粉状となる。寡照多湿条件で多発する。ターフとしては、広い範囲で白く薄汚れたような状態となる。病原菌は他のイネ科植物のものとは、寄生性が異なる。 |