サブタレニアンクローバの病害


葉腐病(hagusare-byo) Summer blight
病原菌:Rhizoctonia solani Kühn、担子菌
 全国で発生し、草地の夏枯の一因となる重要な糸状菌病。初め灰緑色、水浸状に葉が変色し、やがてゆでたように軟化していく。さらに病気が進むと、茎や葉が倒れて重なって腐り、これをつづり合わせるようにしてくもの巣状の菌糸が見られる。罹病植物上には、明褐色〜褐色、直径5mm程度の菌核が形成される。この時点で草地はつぼ状に枯れ、徐々に裸地化が進む。病原菌はほとんどのイネ科及びマメ科牧草を侵すきわめて多犯性の菌。


斑点病(hanten-byo) Summer black stem and leaf spot
病原菌:Cercospora zebrina Passerini、不完全菌
 主に葉と葉柄に発生する斑点性の糸状菌病。葉では葉脈に仕切られた灰褐色の病斑となり、互いに融合して葉を枯らす。葉柄に発生すると紫褐色の条斑となり、被害はさらに大きくなる。病原菌は他のクローバ類も侵すが、寄生性は若干分化しているとされる。


汚斑病(ohan-byo) Curvularia leaf blight
病原菌:Curvularia trifolii (Kauffman) Boedijn、不完全菌
 斑点性の糸状菌病。初め黄色く変色した大きな病変であるが、これが褐変し、葉脈により区切られた特徴的なV字型病斑となる。葉柄を侵されるとその先が萎凋し、すぐに枯死する。古い葉よりも若い葉で被害が大きい。梅雨時以降の気温がかなり上昇した時点で多発する。他のクローバ類でも発生する。


炭疽病(tanso-byo) Anthracnose
病原菌:Colletotrichum trifolii Bain et Essary、不完全菌
 夏から秋に発生する、暖地で被害の大きい糸状菌病。葉、葉柄、茎に発生し、黄褐色、紡錘形、少しくぼみ、中央部に黒いかび(剛毛)を生じた病斑となる。病斑部から上は萎れてしまうことが多く、激発時には株枯となる。病原菌はアルファルファにも寄生する。


うどんこ病(udonko-byo) Powdery mildew
病原菌:Erysiphe sp.、子のう菌
 葉が白い粉を吹いたようになる糸状菌病。春先から葉の表面に初めはあまり目立たない、白い粉を撒いたような薄い菌叢を形成するが、菌叢は徐々に厚くなり、葉全体が覆われ枯死する。冷涼乾燥条件で多発し、曇天が続くなど日照が足りないと被害が大きくなる。アカクローバと同様に被害が大きい。病原菌は他のマメ科作物にも寄生する。

ストロベリークローバの病害


黒かび病(kurokabi-byo) Black patch
病原菌:Rhizoctonia leguminicola Gough et Elliott、不完全菌
 地上部全体に発生する糸状菌病。葉では黒褐色、不定形の病斑となり、即座に互いに融合しては全体を覆う大型病斑となる。病斑中心部には黒い毛羽だった菌核が形成される。激発すると、黒い菌糸が株全体に伸長し、株枯を引き起こす。病原菌は山羊の流涎症の原因となるスラフラミンというアルカロイドを産生する。


そばかす病(sobakasu-byo) Pepper spot
病原菌:Leptosphaerulina trifolii (Rostrup) Petrak、子のう菌
 冷涼地での発生が多い斑点性の糸状菌病。主に葉に黒褐色、直径1mm程度の小斑を多数形成し、葉全体に黒胡椒を振りかけたような感じになる。病斑周囲は次第に黄化し、ついには葉が枯れ上がる。冷涼多雨時には激発する。古くなった病斑上には黒い小粒(子のう殻)が形成される。病原菌はアルファルファのそばかす病菌とは別種である。

スィートクローバの病害


菌核病(kinkaku-byo) Sclerotinia crown rot and root rot
病原菌:Sclerotinia trifoliorum Eriksson、子のう菌
 冷涼多湿地域で発生する、株枯を引き起こす重要な糸状菌病。秋に感染して初め小さな斑点が現れ、やがて葉や茎が黄化、枯死する。積雪下で徐々に進行し、翌年の春の融雪後、気温の上昇と共に一気に茎葉や根が灰白色に腐敗する。枯死した植物の表面には綿毛状の白い菌糸が多量に絡みつき、やがて黒色、不定形、大きさ8ー10mm程度の大型の菌核が形成される。これが秋に発芽して明褐色、かさの直径が3ー8mmのキノコを形成し、ここから胞子が飛んで再び感染が起こる。病原菌の寄主範囲は広く、アルファルファやベッチ類にも感染する。


そばかす病(sobakasu-byo) Pepper spot
病原菌:Leptosphaerulina trifolii (Rostrup) Petrak、子のう菌
 冷涼地での発生が多い斑点性の糸状菌病。主に葉に黒褐色、直径1mm程度の小斑を多数形成し、葉全体に黒胡椒を振りかけたような感じになる。病斑周囲は次第に黄化し、ついには葉が枯れ上がる。冷涼多雨時には激発する。古くなった病斑上には黒い小粒(子のう殻)が形成される。病原菌はアルファルファのそばかす病菌とは別種である。

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