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小径木等チップ資材の堆肥化
山形県農業試験場 化学部
[部会名] 生産環境
[分科会名]
[分類] (4)
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[成果の内容]
農用地開発においては、畑地造成後の速やかな熟畑化が必要であり、
そのためには、安価で多量の有機物資材の施用が不可欠である。そ
こで、農用地開発地区に賦存し、造成過程で生じる小径木等の有効
活用が期待され、チップの堆肥化技術を明らかにした。
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技術・情報の内容及び特徴
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チップの腐熟過程を見るため4区(T区:チップとモミガラ混層+尿素、U区:チップ
+尿素、V区:チップとモミガラ混層+尿素+家畜糞、W区:チップ+家畜糞+尿)を
設置し、3年間腐熟過程を追跡した。
その結果、堆積3年を経過した時点での腐熟進度は、W区≧V区>>T区≧U区
の順であった。とくに、W区、V区は木質の原形をとどめるものは1/3程度に
減少し、材質がもろく、黒褐色化し泥状化していた。なお、小動物(ミミズ等)
の繁殖も極めて多く、C/N比も20前後に低下し、通常の堆きゅう肥よりも養分含量
の高い良質な堆きゅう肥の生産を実証した。また、腐熟化にとって、家畜糞
(微生物の集合体であり、そのエネルギー源でもある)の施用効果を確認した。
一方、T区、U区は、3年経過しても木質の原形をとどめているが、水溶性
フェノールは消失し、有機成分等も低下し、腐熟程度は、バーク堆肥と同程度で
堆肥としての施用に問題ないと推定した(表1、
表2、表3)。
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チップ堆肥による作物(小松菜、白菜等)栽培試験の結果、発芽、生育、収量
とも堆肥と同等で問題はなかった。
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技術・情報の適用効果
木質資材による堆肥生産の方策と堆肥化指標として活用
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適用の範囲
畑地での施用が可能であるが、とくに、大規模農用地開発地域(山麓開発による
新規畑造成地)
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普及指導上の留意点
小径木の経済的処理方法(チップ化)と開発地域諸団体の合意形成が必要
[その他の特記事項]
研究課題名:農用地開発における小径木等有効活用技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :(平1〜平3年)
発表論文等:農業土木学会 東北支部会(平3年)