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夏まきシュンギクの生産安定技術


宮城県園芸試験場・栽培部・野菜科
[部会名] 野菜・花き
[分科会名]
[分類]   (1)

[成果の内容]
  1. 技術・情報の内容及び特徴
    1. 播種期と品種
      15品種を供試したが、6月〜8月播種では、いずれの品種も7月播種でやや収量が 低下する傾向が見られる。この中では収量が多く、心枯れ症の発生が比較的少ない 「きわめ中葉」「おやさと株張中葉」が適している(図 1)。
    2. 栽植密度
      a当たり2860株(条間20cm、株間12.5cm)程度が適当である (表1)。
    3. 寒冷紗被覆
      遮光により心枯れ症の発生が少なくなるが、遮光率が高くなると生育が遅れ、収量が 低下する傾向があるので、白寒冷紗(遮光率22%)程度の遮光が有効である (表2)。
    4. 心枯れ症の発生要因とその防止対策
      心枯れ症は、土壌中の養分過剰等によりカルシウムが吸収できず発生すると 考えられる。栽培前に土壌分析を行い、分析値に基づく適正な肥培管理が必要である。
      ギ酸カルシウム(300倍液、150cc/立方メートル)を生育中3〜5日おきに、散布すると 心枯れ症の発生防止効果が高い (図2図3図4)。
  2. 技術・情報の適用効果
    シュンギクは健康野菜として、夏場の消費ニーズが高まっており、技術の導入により 安定した供給が可能となる。各種事業により設置されたパイプハウスで栽培が可能で、 他作物との輪作体系の中で導入効果が高い。栽培期間が短く、収益性が高いため 農家経営の安定につながる。
  3. 適用の範囲
    東北全域
  4. 普及指導上の留意点
    1. 炭そ病等病害虫回避のため、雨よけ栽培を原則とする。
    2. 栽培が高温期のため、土壌が乾燥しすぎないように管理する。
    3. 寒冷紗被覆は、低日照下の条件では使用しない。
    4. 生育が早いので、間引き等の作業は遅れないようにする。


[その他の特記事項]
研究課題名:夏まきシュンギクの生産安定技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成2年〜3年
発表論文等:施設園芸 1992年5月号