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水稲の耐冷性集積による高度耐冷性系統の育種法


[要約]
水稲の国内遺伝資源の耐冷性集積の手法により、従来の極強を超す高度耐冷性系統 の育成が可能である。集積した高度耐冷性は交配母本として実用品種の育種に利用 できる。これら高度耐冷性の集積により耐冷性はさらに強化できる可能性がある。
宮城県古川農業試験場・育種部・育種科
[連絡先] 0229-22-0148
[部会名] 水稲
[専門]  育種
[対象]  稲類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
東北地方の稲作は昭和55年以降障害型冷害が度重なり大きな被害を受けてきた。これらの 冷害を克服するためには水稲品種の耐冷性を大幅に強化する必要がある。耐冷性品種の 育種は品質・食味など実用形質を低下させずに効率よく進める必要がある。このような 考え方から国内遺伝資源の耐冷性を集積する手法により、耐冷性は従来の極強品種を 超えて飛躍的に向上育成できる可能性を明らかにした(昭和62年度研究成果情報)。 その後、この方法により高度耐冷性品種の育種を実施してきた。

[成果の内容・特徴]
  1. 水稲の国内品種の耐冷性を集積する手法により、耐冷性が従来の極強品種より明らかに 強く、大凶作となった平成5年の古川市において、不稔歩合が10%程度にとどまるような 高度耐冷性系統が育成できる(図1)。
  2. これらの耐冷性は交配により子供に分散させずに取り込むことが可能であり、 高度耐冷性品種を育成する母本として利用できる (図2図3)。
  3. 耐冷性を集積した高度耐冷性系統間や、高度耐冷性系統と耐冷性の強い実用品種との 間の交配により耐冷性はさらに集積して強化する可能性がある (図4)。

[成果の活用面・留意点]
以上の成果は水温18.5度C、水深25cmの恒温深水法による選抜で得られたものである。 耐冷性を集積したり、集積した耐冷性を育種に利用する場合は、水温の制御や水深などに 十分留意する必要がある。

[その他]
研究課題名:寒冷地中部向良質品種の育成
予算区分 :指定試験
研究期間 :平成5年〜(昭和56〜)
発表論文等:日本育種学雑誌 35別冊2、1985.
      昭和62年度研究成果情報(総合農業)