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稲品種の圃場抵抗性によるいもち病発病抑制効果


[要約]
いもち病圃場抵抗性の強い品種は、圃場抵抗性の弱い品種に比べて数回の薬剤散布を 行った効果に匹敵し、薬剤散布回数の削減が可能である。圃場抵抗性の強い品種の 発病抑制効果は、いもち病多発生年ほど大きい。
東北農業試験場・水田利用部・稲育種研究室
[連絡先] 0187-66-2773
[部会名] 水稲
[専門]  育種
[対象]  稲類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
従来の良食味品種は一般にいもち病圃場抵抗性が弱く、これらは薬剤散布の徹底により 防除している。しかし、安全性、環境保全、省力・低コスト化などの観点から薬剤散布 の削減が望まれている。ここでは、圃場抵抗性の強い品種の普及によってどの程度まで 薬剤散布回数を軽減することができるかを定量的に解明し、圃場抵抗性品種普及の 促進を図ると同時に、いもち病抵抗性育種の目標を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
  1. 穂いもち罹病程度は発病中発生年(1992年)、多発生年(1993年)とも「ササニシキ」 (真性抵抗性遺伝子Pi-a、圃場抵抗性弱)、「キヨニシキ」(Pi-a,中)、「トヨニシキ」 (Pi-a,強)、「中部32号」(Pi-a,極強)の順、すなわち圃場抵抗性程度と逆比例している。 また、中発生年に比べて多発生年のほうが罹病程度の品種間差は大きくなる (図1)。
  2. 収量は中発生年、多発生年にかかわらず、減収率(=(3回防除区-無防除区)/3回防除区 ×100(%))が「ササニシキ」で最も高く(中発生年53.9%、多発生年71.7%)、 「キヨニシキ」(22.5%、21.6%)と「トヨニシキ」(23.0%、16.8%)はほぼ同じで低い (図2)。
  3. 品質は中発生年では「ササニシキ」、「キヨニシキ」の無防除区を除いて薬剤散布回数 による変化が小さい。多発生年では薬剤散布回数の減少に伴い品質が低下するが、 圃場抵抗性が強いものほどその変化が小さくなる傾向にある (表1)。
  4. 発病中発生年では「中部32号」の圃場抵抗性は「ササニシキ」の3回防除並みの 発病抑制効果があり、「トヨニシキ」でもこれに近い効果がある。多発生年では 「中部32号」はもちろん、「トヨニシキ」、「キヨニシキ」の圃場抵抗性でも 「ササニシキ」の3回防除以上の効果がある。圃場抵抗性が強い品種を普及すれば、 相当の薬剤散布を軽減することが可能であり、その効果は多発生年ほど大きい。

[成果の活用面・留意点]
  1. 低コスト・環境保全型水稲生産を推進するために活用される。また品種の抵抗性水準に 応じた防除を行う際の参考にする。
  2. ここで用いた品種の真性抵抗性はいずれもPi-aであるが、+品種群でもそのまま適用 でき、Pi-i品種群についてもそれを侵すレース多発地帯であれば、ほぼ準用できる。 Pi-k、Pi-bなどの品種については別途検討する必要がある。
  3. 育種面からは「トヨニシキ」程度の圃場抵抗性が当面の目標となるが、より一層の強化が 望ましい。

[その他]
研究課題名:水稲の効率的育種法の開発
予算区分 :経常
研究期間 :平成5年度(平成4〜5年)
発表論文等:圃場抵抗性によるイネいもち病の発病抑制効果、育種学雑誌、44巻別冊1号
      1994.