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納豆用大豆「コスズ」の収益性安定に向けた栽培法


[要約]
納豆用大豆「コスズ」の収益性安定のためには、晩播で極小粒歩合を高めるより、 標播による安定多収に重点をおく必要がある。気象・立地条件の異なる岩手県内の 地帯別収量目標を設定し、そのための好適栽培法と期待生育相を明らかにした。
岩手県立農業試験場・技術部・畑作科
[連絡先] 019-688-4133
[部会名] 畑作物
[専門]  栽培
[対象]  豆類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
「コスズ」は納豆用品種としての市場の評価が高いが、岩手県では最も晩生品種で 霜害を受けやすいことなどから、栽培地帯や年次により収量や粒大が不安定と いわれてきた。
従来、本品種では極小粒歩合を高めて単価を向上させるため、晩播・密植栽培が 勧められてきた。しかし、収益性を考える上で重要な面積あたりの粗収入には、 極小粒歩合だけでなく収量が大きく関係する。そこで、地帯や栽培法による収量と 粒大の変動を把握し、収益性安定のために好適な栽培法を組み立てた。

[成果の内容・特徴]
  1. 「コスズ」の粗収入と極小粒歩合、収量の関係を調べると、粗収入は収量と高い 相関がある(図1)。また、収量と粒大について、 晩播栽培の特徴を標準播種期での栽培(以下標播と略)との比較でみると、平常年 (例:1992年)には極小粒歩合は高いが収量はやや低く、遅延型冷害の発生年(同1993年) には未熟粒が多い。また、多収年(同1991年)にも標播より収量が劣る (図2)。よって、晩播栽培で極小粒歩合の向上を ねらうより、標播で多収を得るほうが粗収入を高めることになる。
  2. 岩手県内では気象・立地条件等の違いにより、県北中部は県南部と比べて「コスズ」 の粒は小さいが収量は低く年次変動も大きい (表1)。そこで、従来の県内一律の収量目標を 見直し、新たに設定したのが地帯別目標収量である。そして、目標収量を確保する ための栽培法として、播種適期は地帯別に大豆の播種適期内の早播とし、栽植密度は 県北中部で15,000本/10a前後、県南部で12,000本/10a前後とするのが適当である。 本栽培法により期待される生育相および粒大も地帯別に異なる (表2)。

[成果の活用面・留意点]
施肥量や培土等の栽培管理は従来からの栽培法にしたがう。

[その他]
研究課題名:北上山系北部畑作地帯における主要畑作物の高品質生産技術の確立
      特定用途大豆の高品質生産技術の確立
予算区分 :高収益畑輪作
研究期間 :平成5年度(平成4〜6年度)
発表論文等:大豆「コスズ」の栽培特性 第1報 粒の大きさの地域及び年次による変動
      東北農業研究、46号、1993 その他2件