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雨量の土壌窒素発現量(乾土効果)の予測


[要約]
春期の乾燥による水田作土の土壌水分と土壌窒素発現量(乾土効果)を 最寄りのアメダスの3,4月合計雨量から土壌型別に簡易に 予測する方法を確立した。
雨量と作土の土壌水分は正,雨量と窒素発現量は負の2次式で予測出来た。
予測値から基肥窒素量を土壌型別に加減する目安を策定した。
宮城県農業センター・土壌肥料部・作物栄養科
[連絡先] 022-383-8123
[部会名] 生産環境
[専門]  肥料
[対象]  稲類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
水稲栽培における基肥料は土壌型別の大まかな基準は設定されている。 しかし、同じ土壌でも春期の乾燥程度によって、土壌窒素の発現が大きく変動する事は 古くから知られていても、実際場面での基肥料の決定には全く応用されていない。
土壌乾燥程度把握の困難性が原因であるが、この解決のため県内の主要6土壌型、 12土壌について、潅水前の土壌水分と窒素無機化量等を予測し、基肥窒素量を加減する 方法を確立した。

[成果の内容・特徴]
  1. 作土の土壌窒素無機化量(乾土効果)は最寄りアメダスの3月と4月の合計雨量から 高い精度で予測できた。 (図1,表1)
  2. 雨量と窒素無機化量は負の相関であり、強グライ土のみ直線相関であった。
    予測式  Y=A(0)+A(1)X+A(2)X2
    (但しY=窒素無機化量(g/100g),A(0)=定数,A(1),A(2)=係数 (表1)
    X=最寄りアメダスの3,4月合計雨量,雨量の範囲は表1による、雨量が最大値を超える 場合の無機化量予測値は一定とする)
  3. 本法の窒素無機化予測値から、基肥窒素量を加減する目安を策定した。 (表2)
  4. 本法の精度を作況試験圃土壌で検討した結果、平年の窒素無機化量は3.5mg/100g程度と 見られ,田植40日後の窒素吸収量平年比とも合致し、雨量が少なく窒素無機化量の 予測値が高い年は窒素吸収量の平年比が高かった。 (図2,図3)

[成果の活用面・留意点]
  1. 本法により基肥窒素量を調整する事により、計画的な生育量確保が可能になり、 生産の安定化と品質向上、環境保全に寄与する。
  2. 本法は秋耕水田に適用し、雨量が範囲を超える場合の窒素無機化量は一定とする。
  3. 暗渠等排水施設が完備し機能している圃場に適用し、これら完備もしくは機能 していない圃場には適用しない。
  4. 11月から2月までの降水量との関係は相関が低く実用困難である。

[その他]
研究課題名:土壌診断管理統合化システムの開発(土壌窒素発現予測法の確立)
予算区分 :県単
研究期間 :平成5年(昭和63年〜平成6年)
発表論文等:1)水田土壌の窒素無機化量 -3・4月雨量による予測-.日本土壌肥料学会
       講演要旨集.第40集.1994。
      2)雨量による土壌窒素発現量(乾燥効果)の予測.平成5年度宮城県普及に
       移す技術.第67号.1994。