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イチゴ萎ちょう病のランナーを通じての苗伝染


[要約]
イチゴ萎ちょう病は、土壌伝染によって発生するとされている。 しかし、本病菌は、容易にランナーを通じて苗に移行して、苗伝染した。 また、肉眼的に無病徴の苗であっても、本病菌が分離される場合があり、 潜在感染苗の移動によって発病地が拡大している可能性が示唆され、 イチゴ萎ちょう病の新しい伝染環が解明された。
福島県農業試験場・病理昆虫部・病害研究室
[連絡先] 0249-32-3020
[部会名] 生産環境
[専門]  作物病害
[対象]  果菜類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
イチゴ萎ちょう病菌(Verticillium.dahliae)は、 一般的に、汚染土壌への苗の接触によって感染するとされている。しかし、 無病地に、一見無病と思われる苗を作付けした場合でも、 萎ちょう病の被害を生じた事例が観察された。そこで、 本病菌のランナーを通じての苗伝染およぴ潜在感染について検討し、 新しい伝染環の解明を図った。

[成果の内容・特徴]
  1. 萎ちょう病菌に感染した親株から発生したランナー株(苗)は、 親株が萎ちょうして間もなく、すべて萎ちょうした。 親株が萎ちょうしてまもなく、1次ランナー株が萎ちょうし始め、その後、 2次ランナー株も萎ちょうした (表1)。 萎ちょうしたランナー株からは、接種した V.dahliaeが再分離された。
  2. ランナー株に病徴が現れていれば、そのすべてのランナー株から V.dahliaeが再分離された。一方、親株に病徴が現れていても、 ランナー株は無病徴の場合があり、この場合でも、そのランナー株から、 接種したV.dahliaeが再分離されることがあった。 また、親株、ランナー株ともに無病徴の場合でも、そのランナー株から、 接種したV.dahliaeが再分離されることがあった (表2)
  3. 以上の結異から、イチゴ萎ちょう病のランナーを通じての苗伝染が 明らかとなった。 また、ランナー株が肉眼的に無病徴であっても、本病菌の感染が確認され、 新しい伝染環が解明された。

[成果の活用面・留意点]
  1. 健全親株の確保につとめる。
  2. 採苗ほにおいて少しでも発病した場合は、採苗しない。

[その他]
研究課題名:イチゴ病害虫防除技術の開発(県産イチゴの周年生産技術体系の確立)
予算区分 :県単
研究期間 :平成3〜5年度
発表論文等:イチゴ萎ちょう病のランナー伝染 日植病報59:759(1993)