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Rhizoctonia solani の新しい菌糸融合群サブグループAG2−3の分類特性


[要約]
ダイズ葉腐病のRhizoctonia solani担子胞子感染病斑からの菌系は、 AG2-1との菌糸融合頻度が高くかつチアミン要求性であり、 AG2内の新サブグループにあたる。これをAG2-3とした。本菌系は低湿性で、 豆類に対する病原性が強い。
東北農業試験場・地域基盤研究部・病害生態研究室
[連絡先] 019-643-3465
[部会名] 生産環境
[専門]  作物病害
[対象]  豆類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
北東北では、水田転換畑におけるコムギ-ダイズ2年3作体系の確立が強く求められ、 乗用田植機を利用したコムギ・ダイズの立毛間播種技術が開発された (成果情報、1992)。間作・単作ダイズに既往の症状と異なる葉腐病が発生し、 原困はR.solani(完全時代Than atephorus cucumeris) 担子胞子感染によるとわかった(内藤ら、1992)。 その菌系と数種作物に対する病原性の究明により、 各種作物の被害防止のための技術開発に役立てる。

[成果の内容・特徴]
  1. ダイズ葉腐病のR.solani担子胞子感染病斑からの分離菌は、 AG2‐1との菌糸融合頻度が高くかつチアミン要求性である。現在、 AG2内は菌糸融合頻度にチアミン要求性を加味し、 AG2-1とAG2-2の二つのサブグル-プに分けられているが、 分離菌の性質はそれら既知のサブグル-プ特性と合致しない。( 表1 および 表2 )この新しい菌系をAG2-3と提唱した。
  2. 分離株はrDNA(ITS領域)のPCR-RELP解析からもAG2-1、 AC2−2のIIIB型及びIV型、AGB1などとは明らかに識別される (図1)
  3. 本菌系は5-30度Cで菌糸生育するが、最適温度は22.5度C前後であり、 R.solaniの各種菌系の中では低温性のものに相当する。
  4. 本菌系は豆科(ダイズ、エンドウ、アズキ、インゲン、 クローバー)に対して出芽前立枯や出芽後立枯を激しく起こし、 病原性が強い (表3)。 ダイズ、ダイコン、コムキ等に対する病原性からもAG2-1、 AG2-2のIIIB型やIV型とは異なる傾向かある。
  5. 本菌系は、棄腐病斑及び各種作物茎上の子実体などからの分離菌の 調査結果から、これまでに、岩手、宮城、福島県で発生が認識されおり、 分布範囲が広いとみられる。

[成果の活用面・留意点]
R.solaniAG2−3の分類特性は各種畑作物のリゾクトニア病害の的確な診断・ 同定に役立つ。 本菌系の確定に当たっては、既知の菌系との菌糸融合試験のほか、 チアミン要求性を調査する必要がある。

[その他]
研究課題名:ダイズ葉腐病菌菌系の特性解明
予算区分 :経常
研究期間 :平成5年度(単年度)
発表論文等:1)日植病報59:59-60(1993);
            2)日植病報59:284-285,(1993);
            3)日植病報59:760,(1993);