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水稲栽培面積10ha経営の成立過程と経営方式


[要約]
水稲栽培面積10ha経営を調査し、経営環境の変化の著しい昭和40年か ら今日までの稲作の規模拡大経過と経営方式を明らかにした。平均的に2.8haか らスタートし、借地・経営受託に購入等を加え、4〜5倍に拡大していた。その経営 は家族労働力と個別有の機械施設を基礎にし個別完結型の経営方式を行っている。
山形県立農業試験場・経営情報部
[連絡先] 0236-44-5571
[部会名] 経営
[専門]  経営
[対象]  稲類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
稲作経営の規模拡大は継続的課題であるが、近年、特に10haないし20haを 目標とする論議が多いため、規模拡大と経営の方法について具体的な参考資料を得る。

[成果の内容・特徴]
  1. 県内の水稲栽培面積10ha経営、10戸を調査し、稲作経営環境の変化の著しい昭和40年 から今日まで28年間の稲作拡大経過と方法を明らかにした。
  2. 水稲栽培面積10ha経営は、平均的に水田自己所有地2.8haからスタートし、 11haの拡大を行い、現在、水田面積13haと4〜5倍の規模に成長している。その拡大方法 と面積割合は、借地ないし経営受託が67%を占めて大きく、購入は16% である。その他に、開田等がある。そして、事例の拡大の割合は、最小3倍から 最大17倍までに及ぶものがあった。さらに、購入面積は最小0.6ha〜最大4.9haである。 借地・経営受託面積は最小2.7ha、最大14.2haであった。
  3. 拡大の年代は.昭和60年〜平成元年と平成2年以降が大きく、昭和55年〜59年 が次いでいる。
  4. 各拡大方法と年代は、開田が昭和40〜44年に行われている。つぎに、購入は昭和 40年頃より今日まで断続的に行われ、中でも多いのは昭和60〜64年と昭和40〜44年で ある。そして、購入の1件当たり面積は33a、購入金額517万円で、10a当たり購入価格は 156万円であった。これは、水稲の収益性からみて、経営対応のできるレベルと 見られる。さらに、購入の資金源は自己資金割合が40%台に留まって おり、借入金は農地取得資金が中心である。購入地域は旧市町村内が多い。
  5. 借地・経営受託は昭和45年頃より本格化し、昭和60〜平成元年に最も多くなって いる。その1件当たり面積は平均78aであり、委託者の地域は同一集落が、特に多く 、他地域との結びつきは、まだ弱い。作業受託は昭和55年頃より始まり、 昭和60年以降、増えている。
  6. 水稲栽培面積10ha経営は労働力面では家族労働を中心に農繁期の臨時雇用を加え 、機械施設は個別有がほとんどであり、個別完結型の経営方式を取っている。そして、 営農類型では稲作の比重が著しく高い。
  7. 水稲部門の収支等を試算した結果、1戸当たり粗収入2,260万円、費用合計 1,150万円で、借地料や借り入れ償還金等を配慮した所得は900万円〜1,000万円と なった。
  8. 水稲栽培面積10ha経営が今日の規模に拡大できた要因としては、昭和40年代等 、早くから購入を進めたり、借地・経営受託が進められると積極的に対応するなど拡大 に努めてきたこと。そして、水稲単収が地区の平均レベルないしは、それ以上で 技術水準が高いことなどが考えられる。
  9. 稲作経営の規模拡大を図るには、水田購入価格ならびに借地料と収益性に配慮しなが ら、技術向上と経営管理や健康管理に努めながら進めることが大切である。

[成果の活用面・留意点]
県内でも限られた稲作大規模経営に基づいている。また、今後も稲作情勢の変化が 予想される。

[その他]
研究課題名:21世紀を展望した地域水田営農のあり方と展開方策
予算区分 :県単
研究期間 :平成5年度(4〜6年度)
発表論文等:なし