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野菜共同選果場の総合的評価


[要約]
野菜の共同選果場が導入された効果を測定した結果、生産物の価格向上が見られた。 しかしながら、労働時間短縮による栽培面積の拡大、新規栽培者の増加の効果がそれを 上回っている。
事業主体の農業協同組合、農業施策として補助金を支出した役場双方は、費用が便益を 上回っているものの、測定が困難な農業者の意識の高揚などには高い効果があったと 指摘している。
福島県農業試験場・経営部
[連絡先] 0249-32-3020
[部会名] 経営
[専門]  農業施設
[対象]  農業機械
[分類]  研究

[背景・ねらい]
これまで各種事業によって多くの農業用施設が導入されてきた。 本県の農業用施設の多くは、これまでの調査で圧縮記帳によっても損益分岐点付近、 または、赤字経営であることが明らかにされている。これは、施設の評価が独立採算と しての経済性評価にとどまっているためである。
しかし、農業用施設が導入され、作業の外部化が行われることによって、地域社会には 多くの費用、便益が発生する。これらを総合的に計測することが、農業用施設導入の 際に重要な問題となる。
このようなことから、農業協同組合が所有する共同選果場の総合的効果を計測した。

[成果の内容・特徴]
共同選果施設の効果は農家にとって単価の向上による所得の拡大という直接的便益より、 選果・箱詰め作業の外部化を主因とする面積拡大、新規栽培者の参入等の間接的便益が 大きかった。
また、これまで夜間の作業となっていた同作業の外部化の結果、過重労働からの解放、 食生活の健全化等の健康維持効果、家族との会話・団らんなどによる家庭教育・ 社会教育的効果が生産者共通の便益として認識されていた。また、管理時間が増加した 結果、増収効果は水稲は認められたが、キュウリは認められなかった。
事業主体である農協および農業施策として補助金を支出した役場では、その支出した 費用を上回る直接的経済効果がなかったものの、農業者の意欲の高揚などに効果が高い と評価している。
この結果、共同選果場導入は独立採算では否定されるが、総合的な効果を測定した場合 には正当化された。

[成果の活用面・留意点]
補助事業導入の際の事業計画の立案に際しての新たな評価手法として利用できる。 しかし、これらをマニュアル化するためには、更に多くの調査を必要とする。

[その他]
研究課題名:農業用施設の多面的評価法の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成5年(平成5〜7年)
発表論文等:なし