研究所トップ研究成果情報平成5年度

ゼブー遺伝子導入による日本短角種子牛のピロプラズマ病抵抗性向上


[要約]
日本短角種と、ゼブー遺伝子を約38%の割合で有するサンタガートルーディ ス種とを交配することにより、生産されたF1子牛の放牧地における ピロプラズマ病抵抗性が向上する。
東北農業試験場・畜産部・家畜育種研究室
[連絡先] 019-643-3541
[部会名] 畜産(家畜)
[専門]  育種
[対象]  家畜類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
東北地方特産の肉用牛である日本短角種は、その大部分が放牧飼養されるが、 放牧地特有疾病のピロブラズマ病による子牛の死亡事故や発育停滞が問題になって いる。そこで、放牧地疾病に対し高い遺伝的抵抗性を有するゼブー(いわゆる 「コブウシ」)の遺伝子を日本短角種に導入することにより、子牛の ピロプラズマ病抵抗性が向上するか否かを調べる。

[成果の内容・特徴]
  1. ゼブー遺伝子を約38%の割合で有するサンタガートルーディス(SG)種の精液を 日本短角(N)種雌に人工授精し、ゼブー遺伝子割合約19%のF1を生産した。 F1はN種に比べ生時体重が大きく、かつ在胎日数が長かった (表1)。
  2. 3月から4月にかけて生産したF1、子牛およびN種子牛を、5月から10月まで 母牛と共に放牧した。放牧期間中、F1子牛はN種子牛より日増体量が大きい 傾向にあった(表1)。
  3. 放牧期間中、F1子牛はN種子牛より、ピロプラズマ病の原因となる タイレリア原虫寄生率が低く推移した(表2)。 また、F1子牛はN種子牛よりヘマトクリット値が高く推移し ピロプラズマ病の主症状である貧血に対する抵抗性が高いことが示された (表3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 肉用牛の放牧適性を向上させる上で有効な技術知見となる。
  2. 本成果は試験場内で得られた結果であり、草生不良・マダニ濃厚汚染等、劣悪な放牧地 においてもF1が高い抵抗性を示すか、さらに検討を要する。

[その他]
研究課題名:外来遺伝子の導入による放牧適性の付与
予算区分 :緊急技術開発
研究期間 :平成5年(平成元年〜5年)
発表論文等:
1) サンタガートルーディス種×日本短角種F1子牛の放牧地における発育能力
   東北農業研究、45、165-166(1992)
2) 放牧子牛の末梢血管のタイレリア原虫寄生と免疫細胞との関係
   第43回日畜学会東北支部大会(1993)
3) サンタガートルーディス種×日本短角種F1子牛との放牧地における小型ピロプラズマ病抵抗性の違い
   日畜会報、印刷中(1994)