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追播と地表処理の組み合わせによる放牧草地の簡易草生回復技術


[要約]
草地植生が悪化し生産力が低下した放牧草地を、簡単な地表処理と追播の組み合わせに より簡易に草生回復を図るための更新技術を明らかにした。
青森県畜産試験場・草地飼料
[連絡先] 0175-64-2231
[部会名] 畜産(草地)
[専門]  農地整備
[対象]  牧草類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
放牧草地の多くは造成後かなりの年数が経過し、草地植生の悪化による生産性の低下が 著しい。このため、これら草地では飼料基盤の強化を図る上から草地を更新して、 生産力を回復させる必要があるが、通常の大型機械による完全更新法では多額の 更新経費を要することや、傾斜地の多い放牧草地では土壌侵食など環境保全上の問題も あり、草地更新が適切に実施されていない牧場が多い。
そこで、耕起をせず簡単な地表処理と追播により、低コストに草地の生産性を回復させ る簡易更新法について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. バックホーは等高線に沿って作溝し表層の前植生を剥離する。ブルドーザーは全面を 2度走行して表面を攪拌するが、乾地式クローラーが湿地式クローラーより効果的であ る。いずれの機械を使う場合も土壌の露出度は50%程度必要である。播種後の鎖圧は 各々の作業機械を走行させて実施する。
  2. 傾斜度8〜14度のオーチャードグラス主体長草型草地では、無処理に比べバックホー区 及びブルドーザー区とも14〜19%増収した。傾斜度14〜18度の ケンタッキーブルーグラス主体の短草型草地では無処理区との差は小さかった (表1)。
  3. 長草型草地における追播草種の定着状況はブルドーザー区が高く、ブルドーザーの走行 が前植生を抑圧する効果が大きいことが示された (表2)。
  4. 長草型草地において、牧草追播により効率的に草地生産性の回復を図るための追播草 としては、ペレニアルライグラスが最も優り、次いでオーチャードグラスの順であっ た(図1)。
  5. 早期に追播草種主体の草地に転換する場合の10a当たり播種量は、オーチャードグラス とメドウフェスクが1.8kg、ペレニアルライグラスが1.0kg必要である。また、各草種 を補助草種として使用する際の追播量の目安が得られた (図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 前植生が比較的良好で更新後も活用できる条件ではバックホー、雑草や裸地が多く 植生の転換が必要な場合はブルドーザーにより地表処理を行う。
  2. バックホーを使用する場合、前植生の剥離状態によって爪の本数を調整する。

[その他]
研究課題名:低生産草地の低コスト生産力回復技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成5年(平成2〜4年)
発表論文等:青森県畜産試験場試験研究成績書(平成4年〜5年)