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ブドウ晩腐病の花蕾における発生


[要約]
ブドウ晩腐病は、主に果実に発生する病害であるが、新たに開花前の花蕾で の発生が確認された。発病花蕾に多量に形成された分生胞子は、病原性を有し、熟期 に果実を腐敗させ、二次伝染源となることが明らかになった。
秋田県果樹試験場・天王分場
[連絡先] 0188-78-2251
[部会名] 果樹
[専門]  作物病害
[対象]  果樹類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
ブドウのピオーネや巨峰など数品種において、開花前に花穂が褐変する障害が発生 した。症状は灰色かび病に類似するが、褐変は花蕾の部分に見られ、乾燥枯死するため 開花結実できず果房の品質が低下した。褐変障害は直接結実に影響することから、 その原因を究明し、生産の安産に寄与する。

[成果の内容・特徴]
  1. 花蕾の褐変部から分離された病原菌を同定した結果、晩腐病菌の不完全世代の Colletotrichum gloeosporioides菌によって起こることが明らかになった。
  2. 花穂の症状は灰色かび病の病徴に類似しているが、褐変は花蕾の部分にとどまり、 乾燥枯死して結実できなくなった。
  3. 発生品種はピオーネ、巨峰、キャンベル・アーリーのほか10品種で認められた。
  4. 花蕾の発病は開花10日前頃から認められ、開花直前までに発生量が直線的に増加した。 潜伏期間は5日から12日で、発病5日後には褐変部に分生胞子の形成が認められた。
  5. 分生胞子の形成時期は6月中旬から7月下旬で、降雨によって飛散した。飛散量は 6月中旬から7月上旬に多く、越冬伝染源(結果母枝、巻きひげ)からの飛散量のおよそ 5倍であった。
  6. 花蕾上の分生胞子の発芽率は高く、病源性が認められた。
  7. 発病花蕾は果実に付着すると成熟期には果実を腐敗させ、二次伝染源になることが明ら かになった。

[成果の活用面・留意点]
開花前後の花穂の褐変症状を灰色かび病と明確に区別し、発生量を予察して適切な防除 対応を図ることができる。

[その他]
研究課題名:果樹(ブドウ)病害虫発生予察事業(ブドウ晩腐病の二次伝染源の探索)
予算区分 :国庫
研究期間 :平成3〜5年(平成3〜7年)
発表論文等:  ブドウの花穂上に形成した晩腐病菌(Glomerella cingulata)の分生胞子の
            二次伝染源としての役割、日植病報、第58巻第4号、1992.
              ブドウ晩腐病の二次伝染源の所在 第2報花蕾の発生経過と分生胞子の飛散消長、
            日植病報、第59巻第3号、1993.
              ブドウ晩腐病の発生生態と防除対策、H4年度果樹病害虫防除研究会シンポジウム
            講演要旨.