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ネギのペーパーポット育苗による作期拡大と省力化
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[要約]
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ネギの育苗にペーパーポットを使用することで、
収穫期および播種期の幅が広がる。また、定植作業時間も短縮され、
省力化が図られる。
福島県農業試験場・いわき支場
[連絡先] 0246-34-2348
[部会名] 野菜・花き
[専門] 栽培
[対象] 葉茎菜類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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ネギ栽培は、育苗期間が長く除草の作業等、苗床管理が容易ではない。また、
栽植本数も多く、定植時の労働負担も大きい。そこで、
育苗管理および定植作業の軽減をはかるため、
育苗にペーパーポットを利用した場合の播種期ごとの収穫時期、
収量性等を検討する。
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[成果の内容・特徴]
- 播種から定植までの10a当たりの作業時間は、普通育苗の112.7時間に比べ
ペーパーポット育苗では71.8時間となり、40%近く短縮が可能である
(表1)。
- ‘東京夏黒2号’を用い12月から1月に播種した場合、
8月下旬から収穫が可能である。また、3、4月に播種した場合、
11月下旬から秋冬ネギ並みの300kg/aの収量が得られる
(表3)。
- ‘東京冬黒’を用い5月に播種した場合、
12月中旬から300kg/a近くの収量が得られ、
翌年の4月下旬には10%程度の抽台株を生じるが、
400kg/a以上の規格内収量が得られる
(表3)。
- 8月播種の収量は、‘東京冬黒’、‘長悦’
とも翌年の7月にa当たり150kg以上となリ
(表3)、
抽台のため品薄になる時期の出荷が可能である。
表2 収穫時生育状況
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[成果の活用面・留意点]
- 普通育苗より播種期の幅が広がるので、
7月中旬~8月下旬収穫の作型も可能である。
- 軟白長が短い傾向があるので、培土をていねいに行い、
軟白長の確保につとめる。
- 初期生育が緩慢なため、雑草、虫害などにより生育が抑制されたり、
欠株になりやすいので、定植から最初の培土までの管理を徹底する。
- 育苗時にペーパーポット、コーティング種子などの資材を使用するため、
10a当たリ4~5万円程度の費用がかかる。
[その他]
研究課題名:ネギのポット育苗による播種期試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成5年(平成4~6)
発表論文等:なし