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桑条靭皮繊維の利用による和紙表彰状の製造


[要約]
蚕糸業における副蚕物を有効に利用することを目的として、 特に桑条皮層部の靭皮繊維を取出し、これを和紙の表彰状素材として加工利用する 技術を確立しようとして細切した天蚕繭層を紙面にちりばめて製作したところ、 新素材、新規用途の方法として認められる作品ができた。
福島県蚕業試験場・養蚕部
[連絡先] 0245-77-0055
[部会名] 蚕糸、加工利用
[専門]  資源利用
[対象]  工芸作物類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
蚕業における桑条は、その桑葉が蚕の飼料として利用されるが、 残廃条については、一部堆肥として桑園に還元されるが、 そのほとんどは廃棄されている。古くは、有効利用の観点から桑条パルプや 和紙製造の研究もなされた。現在の蚕糸情勢に照らして、 桑条類・副蚕糸類を有効に利用するための技術開発は、緊急課題である。 本研究では、特に桑条皮層部の靭皮繊維を取出し、 これを和紙の表彰状素材として加工利用する技術を確立しようとした。 細切した天蚕繭層を紙面にちりばめて製作したところ、新素材、 新規用途の方法として認められる作品ができた。

[成果の内容・特徴]
  1. 原料調整工程および紙漉き工程の2工程からなる。 (図1)
  2. 原料としで春蚕期収穫の枝条が最も適した。
  3. 乾燥白皮の収率は、桑条の水分率によるが、6%内外であった。
  4. ネリとして一般的にはとろろ葵を用いるが、本研究では、澱粉のりを用いた。 繊維の分散状態は良好であった。
  5. 本和紙表彰状の中に、天蚕繭層をちりばめることができた。
  6. 薄手、厚手とも比較的容易に調製できた。
  7. 漂白剤を使わずして、その色調は絹に似て白い。
  8. 白皮・和紙の製造は、養蚕農家の副業として最適と思われた。

[成果の活用面・留意点]
和紙の製造は、熟練を要するので、その技術の習得に努める必要がある。また、 白皮製造のみでも経営が成り立つ流通システムの確立が望まれる。

[その他]
研究課題名:副蚕糸類・桑条類利用による新素材の開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成4年〜5年
発表論文等:桑条靭皮繊維の表彰状賭しての利用法、製糸絹研究会報、2巻、1993