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大区画田におけるフロアブル除草剤の水口一括処理法


[要約]
フロアブル除草剤(ピリブチカルブ・ブロモブチド・ベンゾフェナップ剤)を 水口付近に全使用量を一括投下し、灌漑水によって 圃場全体に流入処理する方法は、大区画水田において処理むらが少なく、 除草効果が高く、薬害がみられないので、 従来の粒剤散布に比べてきわめて省力的な処理法である。
青森県農業試験場・稲作部
宮城県古川農業試験場・栽培部・作物科・環境科
[連絡先] 0172-52-4396
[部会名] 水田農業
[専門]  雑草
[対象]  稲類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
圃場の短辺が30mを越える区画の大きな水田では従来の区画の水田に比べて、 防除薬剤などの均一散布作業やきめの細かい水管理が負担になっており、 除草剤の省力散布技術の確立が望まれている。すでにフロアブル除草剤を 水口から灌漑水に滴下し、灌漑水と同時に圃場全体に流入する方法は実用性が 認められているが、ここではさらに、簡便な方法として、 水中拡散性に優れるフロアブル除草剤を水口付近に 圃場面積あたりの全使用量を一括投下し、 灌漑水によって流入処理する方法について大区画圃場(60〜140a)を用いて、 その除草効果、水稲の生育・収量への影響、作業性等について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 62aの大区画圃場において初期一発フロアブル剤の水口一括処理を 実施したところ、圃場内の30地点より除草剤処理1日後に田面水を採水し、 シャーレー実験で20日後に4cmに達しなかったノビエの割合は55〜100%であった。 また、同地点に播種したノビエはいずれの地点もまったく生存できなかった。
  2. 1992、93年に青森県黒石市および宮城県下の農家水田3カ所で実施したが、 圃場全体の残草はむらもなく、きわめて効果が高く、 水稲に対する生有抑制や障害はみられない。
  3. 処理時の圃場の水深は浅水(湛水深2cm以下)または落水状態とし、 灌漑水にのせて一気に圃場全体に拡散させる。 灌水は豊富な水量でおおむね半日以内に圃場全体にいきわたらせ、 湛水終了後(湛水深5〜6cm)に必ず止水する。
  4. 作業性は重い散布機を背負ったり、圃場内に入る必要がなく、 一括処理後は灌水終了時刻に見回れば済み、 除草剤処理時間は水管理時間内にほぼ包括され、労働時間の短縮に有効である。
    表1 フロアブル除草剤の水口一括処理による作業性、 除草効果および水稲への薬害

[成果の活用面・留意点]
  1. ピリブチカルブ・ブロモブチド・ベンゾフェナップフロアブル剤の使用基準に 合致した条件で、圃場均平度が良好で、保水性が高い圃場とする。
  2. 区画の形状、圃場の広さの問題はないが、多年生雑草優占圃場や 漏水の激しい圃場では残効が劣るので使用できない。
  3. 灌漑水の豊富な水田が望ましい。

[その他]
研究課題名:大区画田における生産管理技術の確立
            大区画田の超低コスト高品質水田利用技術の確立
予算区分 :国庫補助、県単
研究期間 :平成5年度(4〜5年度)、平成5年度(元〜5年)
発表論文等:水田の自動水口管理システムを利用した農薬・肥料の省力施用法(3)
                   東北農業研究 46 (1993)