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簡易施設利用による秋どりそらまめの栽培法


[要約]
吸水種子を3〜5度C・2〜3週処理後2週間育苗し、 8月上旬ハウス内定植することにより、 9月下旬から12月にかけて収穫できるそらまめ栽培法である。
a当たりの可販莢収量は140kgと多収で品質も良い。
秋田県農業試験場・園芸畑作部・特用作物担当
[連絡先] 0188-39-2121
[部会名] 水田農業
[専門]  栽培
[対象]  果菜類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
簡易小型パイプハウスの1年2作体系の後作として、 市場価格が安定している秋どりそらまめの栽培技術を確立し、 施設の利用効率を高めるとともに、秋収穫野菜の選択肢を拡大する。

[成果の内容・特徴]
  1. 品種は、株当たり着莢数が多く増収することから 「ハウス陵西1寸」が適す (表1)
  2. 吸水種子に3〜5度C・2〜3週間の低温処理を行った後、 9cm径のポリポット で2週間育苗すると、草丈20cm前後・葉数5枚程度の苗が得られる (表2)
  3. 7月中旬〜下旬播種で高温期の育苗になるが、 銀寒冷紗等で遮熱することにより90%前後の高い成苗率が得られる (表2)
  4. 定植後も高温期の生育になるので、 地温抑制効果の高いサニーWかひえひえなどでマルチする (図1)
  5. 7月中〜下旬播種・8月上旬定植により、8月下旬から開花し、 9月下旬から12月にかけて収穫となる (表2)
  6. 12月中旬までの可販莢収量はa当たり140kgと多収であり、 また上物率(2粒莢以上)も70〜80%と高く品質的にも優れる (図2)

[成果の活用面・留意点]
  1. ハウス内年2作体系の後作となるため、 残存肥料の把握による適正施肥設計が必要である。
  2. 高温期育苗・定植となるので、遮熱対策が必要である。 ハウス屋根ビニールは頂上部に集め、寒冷紗等で覆う。 9月下旬にはハウス内温度確保のため屋根ビニールを戻す。
  3. 水稲育苗ハウス後利用を含めて、県内全域への普及が可能であるが、 そらまめの一般作型と違いかなり集約性が高いので、 導入に当たっては労働力等十分考慮する。

[その他]
研究課題名:新輪作技術確立試験
            新作型導入による輪換田の高収益野菜の安定生産技術確立
予算区分 :地域水田農業
研究期間 :平成5年度(平成3〜5年)
発表論文等:未発表