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春まきリーキの育苗法と栽植様式


[要約]
リーキの無加温育苗は最低気温0度C以上に温度管理する。2〜3月まきの地床育苗、 セル成型育苗とも65日程度育苗する。栽植株数はa当たり740株程度とする。
宮城県園芸試験場・栽培部・野菜科
[連絡先] 022-383-8132
[部会名] 野菜・花き
[専門]  栽培
[対象]  葉菜類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
リーキは西洋ネギ、ポロネギとも呼ばれ、フランス料理に欠かせない材料で、洋食志向 の影響で一般家庭でも利用されるようになった。現在市販されているものの多くは 輸入品で、国内生産はほとんど行われていない。リーキは高温には弱いが低温には 強く、東北地域の気象に適した栽培品目で、新規に導入する野菜として有望と判断 されるので、播種期育苗法、栽植密度について検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. 播種期は温度管理等から2月下旬〜3月中旬が適する (表1)。
  2. 地床育苗でも、苗の移動が容易なセル成型育苗でもよい。育苗はいずれの育苗方法 とも65日程度行う。パイプハウスを利用し無加温育苗とし、最低気温が0度C以下に ならないように管理する。
  3. 栽植株数は可販収量、品質からみてa当たり740株程度(うね幅90cm、株間15cm)が 適する。株間を2倍程度広めにし、1ヵ所2株植え(a当たり888株、うね幅90cm、株間 25cm)とする方法も定植時の省力化として有効な手段である (表2)。
  4. 収穫始期は11月中旬〜12月上旬である。

[成果の活用面・留意点]
  1. 地床育苗は条間を20cm程度とし条まきする。育苗期間が長いので株間が1〜2cm となるように播種する。
  2. セル成型育苗には200穴(1穴2.2×2.2×4.4cm)程度のセルトレイとセル成型苗専用土 を使い、かん水はこまめに行う。
  3. 収穫始期を早めたい場合や温度確保ができない地域では、加温育苗とし、地温15度C、 最低気温5度Cに設定する。
  4. 施肥量は10a当たり成分でチッソ、リン酸、カリとも30kg程度とする。リン酸は全量基肥 とし、チッソ、カリは基肥に6割程度施し、残りを培土時に追肥する。
  5. 葉鞘内に土が入らないよう生育中期以降2〜3回に分けて培土を行い、最終的に培土の 高さが20cm以上になるようにする。

[その他]
研究課題名:寒冷地気象を活用したニューソフト野菜の省力・機械化栽培による作付
      体系の確立
予算区分 :地域重要新技術
研究期間 :平成6年度(平成5〜7年)
発表論文等:春まきリーキの育苗法と栽植密度、東北農業研究38