研究所トップ研究成果情報平成7年度

ほ場条件に合わせた無代かき作溝直播機による作業方法


[要約]
無代かき作溝直播の播種作業はその時の土壌条件により播種作業や播種精度へ及ぼす影響が大きいため、土壌水分別の播種作業方法について指標化を行った。通常の実作業速度は0.5m/s、含水比が高い場合は0.3〜0.4m/s、低い場合は0.4m/sでロータリPTO回転数は540rpmで行う。
山形県立農業試験場・作物部,機械土木部
[連絡先] 0236-47-3500
[部会名] 水稲
[専門]  栽培
[対象]  稲類
[分類]  指導

[背景・ねらい]
現行の稲作栽培体系の中心は移植栽培であるが、農業をとりまく情勢が大きく変わる中で、より省力的で低コスト化が可能な直播栽培の技術確立が急務となっている。本課題では、直播栽培のメニューの一つである「無代かき作溝直播」の技術確立において、播種作業機のほ場条件と作業性について検討を行い、播種作業方法を指標化した。

[成果の内容・特徴]
播種作業法については、以下のとおりである。
  1. 通常、ロータリ耕耘が可能な条件:播種時のほ場条件は、適度に土壌水分があること。実作業速度は0.5m/s、耕深10〜13cm、ロータリPTO回転数は約540rpmで行う。
  2. 土壌含水比が高い場合:ほ場条件は、枕地旋回が可能な条件で行う。特に水たまりのあるところでは、トラクタのスリップが大きく、溝形成も困難になり、作業能率も劣ることから事前に排水溝を作り落水しておく。実作業速度は0.3〜0.4m/sの範囲内で、ロータリPTO回転数は約540rpmで行う。(表2、3)
  3. 土壌含水比が低い場合(乾燥しているほ場):実作業速度は0.4m/s程度の遅めとし砕土を高め、播種溝に穴が極端に多くできないよう注意し行う。(表1)
  4. その他の留意事項:ほ場作業量は、10a当たり約40〜60分である(7条播種タイプ時:表1)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 土性タイプによっては播種作業条件が変わることも想定されるので、播種前にほ場内で、溝形成の確認のためテスト走行を行い作業速度、耕深等を設定する。
  2. 播種作業機自体の重量が重いので、トラクタの前部に前後のバランスを確保できる程度のウエイトを載せて作業を行う。
  3. 特にほ場整備初年目等の地耐力の低いほ場での作付けはしない。

[その他]
研究課題名:無代かき作溝直播栽培技術の開発
予算区分 :国庫助成(地域基幹農業)
研究期間 :平成7年度(平成6〜10年)