研究所トップ研究成果情報平成7年度

採種圃場における「こぼれ籾」から発生した稲の防除法


[要約]
収穫時の「こぼれ籾」から発生する稲の防除はプレチラクロールを含んだ除草剤が有効で、プレチラクロールを含んだ除草剤は移植直後までの処理で効果が高い。
福島県農業試験場・会津支場
[連絡先] 0242-82-4417
[部会名] 水稲
[専門]  薬剤
[対象]  稲類
[分類]  普及

[背景・ねらい]
収穫時の「こぼれ籾」から翌年発生する稲は、採種圃場等では混種の原因となるため防除が必要であるが、抜き取りには多大な労力を必要とする。そこで、こぼれ籾から発生する稲を防除する方法について、移植水稲用除草剤を用いて検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. こぼれ籾の越冬後の生存率は「ひとめぼれ」、「コシヒカリ」が、「初星」、「ササニシキ」より高い(図1)
  2. プラウによる反転耕は籾を埋没させる効果はあるものの、代かきにより籾が表層に浮くため、こぼれ籾から発生する稲の防除効果は小さい(表1、2)
  3. プレチラクロールを含んだ除草剤は、発芽、出芽期の稲に対する活性が高く、こぼれ籾から発生する稲の防除に有効である(表3)
  4. プレチラクロールを含んだ除草剤は移植直後までの処理でこぼれ籾に対する防除効果が安定して高いが、処理時期が遅れると効果が変動する(図2)

[成果の活用面・留意点]
  1. 採種圃場等でのこぼれ籾から発生する稲による異品種混入防止に利用できる。
  2. プレチラクロールは発芽時の稲に対して活性が高いので、処理が遅れないように注意する。
  3. 除草剤は使用基準に従って使用する。
  4. こぼれ籾から発生する稲をプレチラクロール剤によって完全に防除することは困難なので、発生したら抜き取りに努める。
  5. プレチラクロール粒剤処理後の雑草防除は、一発処理剤または中期剤との体系防除で行う。

[その他]
研究課題名:採種圃場における「こぼれ籾」から発生する苗の防除に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成7年度(平成5〜7年)
発表論文等:東北農業研究,第47号,1994年