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VA菌根菌接種によるウド培養苗の生育促進
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[要約]
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ウドの培養苗にVA菌根菌を接種することで、定植後の生育が旺盛となり、根株重が増加した。菌の感染は、培土へのリン酸施用量及びVA菌根菌資材の使用量に影響を受けた。
秋田県生物資源総合開発利用センター・遺伝資源
[連絡先] 0185-45-3101
[部会名] 野菜・花き
[専門] 栽培
[対象] 葉茎菜類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
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ウドは土壌病害(半身萎ちょう病など)の発生が問題となっており、種株も伝染源となるため、無菌的に育成される培養苗の利用が有効である。しかし、栽培1年では培養苗の根株は根分け苗の根株に比べて小さく、株の養成に長期間を要すると考えられる。そのため培養苗の生育促進をねらいとして、VA菌根菌資材の接種条件及び接種効果を検討した。
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[成果の内容・特徴]
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ウド培養苗へのVA菌根菌の伝染は、培土へのリン酸施用量が多いと抑制される。リン酸施用量が0〜25g/100Lでは比較的高い感染率であるが、100g/100L以上の施用及び市販の園芸培土では感染がほとんど観察されない(図1)。
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リン酸施用量が400g/100Lまでは、施用量が多いほど苗の生育が優れる。
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菌の感染や苗の生育が良好であることから、培土へのリン酸施用量は25g/100Lが適している。
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リン酸施用量25g/100Lで資材の施用量を検討した結果、株当たり5gの施用では1gに比べ著しく感染率が増加した(図2)。
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菌を接種した苗では定植後の生育が優れ、茎長や茎径が大きくなる(データ省略)。
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根株では芽数や芽の太さに差はみられないが、根株重は接種したものの方が大きくなり、肥大促進が図られる(表1)。
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[成果の活用面・留意点]
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根株の肥大が良好となることから、株分けが容易となるとともに、株養成期間の短縮が図られる。
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リン酸が多く添加されている園芸培土を用いると感染が阻害される。
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VA菌根菌資材の施用量を減らすと感染率が低下する恐れがある。
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接種後の育苗期間が1カ月以下では感染があまり見られないため、1.5〜2カ月の育苗が必要である。
[その他]
研究課題名:特産作物の大量増殖技術の確立
1.ウドの大量増殖に関する試験
予算区分 :県単
研究期間 :平成7年度(平成4年〜)
発表論文等:ウド培養苗の生育に対するVA菌根菌接種資材の効果,
東北農業研究,第48号,1995.