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リンドウの腋芽のガラス化法による超低温保存
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[要約]
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リンドウの超低温保存は、腋芽を利用するガラス化法によって可能である。前培養(0.3Mショ糖添加培地2日間)と前処理(2Mグリセリン+0.4Mショ糖)により、腋芽の伸長率は向上する。
福島県農業試験場・野菜部・バイテク研究室
[連絡先] 0249-32-7786
[部会名] 生物工学
[専門] バイテク
[対象] 花き類
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
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リンドウは挿し芽などの栄養繁殖が困難であるため、実生によって増殖されている。実生の場合、形質が固定されていないのでバラツキが大きく、また、自殖による弱勢化がおきるため、個体の維持が重要な課題である。そこで、リンドウの優良系統及びF1育種用親株を長期的に維持・保存するため、処理時間が短く簡易なガラス化法による超低温保存技術を開発する必要があった。
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[成果の内容・特徴]
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ガラス化法による超低温保存の手順は図1の通りである。
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培養中の節の部分から葉を除いて約2mm切り出し、腋芽を供試材料とする。
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0.3Mショ糖添加MS培地で2日間前培養を行い(表1)、さらに前処理(2Mグリセリン+0.4Mショ糖20分間)を行う。
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室温(25℃)にて、ガラス化液(PVS2:グリセリン30%(W/V)+エチレングリコール15%(W/V)+DMSO 15%(W/V)+ショ糖0.4M)で45分間処理し脱水した後、液体窒素に速やかに投入する(表2)。
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植物体の再生には、38℃の温水で加温し、1.2Mショ糖液で洗浄、濾紙培地で1日培養し、その後1/2MSの発根培地で継続して培養する。
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ガラス化液で処理した節組織は脱色し黄化するが、数日後腋芽の部分が緑色になり、カルスを形成せず直接伸長・発根し、正常な幼植物体を得ることができる。
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幼植物体は鉢上げ育成後、越冬芽を形成し通常に生育する。
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[成果の活用面・留意点]
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本成果はササ系、ササ×エゾの場合で、エゾリンドウへの適用については未検討である。
[その他]
研究課題名:培養苗の順化率向上と保存技術による計画的種苗生産システムの開発
予算区分 :国補(地域バイテク)
研究期間 :平成7年度(平成5〜7年)
発表論文等:ガラス化法を用いたリンドウ節組織腋芽の超低温保存,
第14回植物組織培養学会大会 講演要旨 p73,1995