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高機によるネットロウシルクマフラーの試作


[要約]
ネットロウシルク及びロウシルクを素材として手織りで作成したマフラーのうちネットロウシルク製のマフラーは、かさ高性、柔軟性、軽さ等の素材特性が生かされ、商品化の可能性が高い。
宮城県蚕業試験場・検定加工科
[連絡先] 0223-34-1211
[部会名] 蚕糸
[専門]  加工利用
[対象]  生糸
[分類]  研究

[背景・ねらい]
養蚕農家の所得向上と担い手確保を図る方策として、地域養蚕業の確立が緊急課題である。それには地域で生産された繭を用いて、家内工業的に手織りで簡易な織物の創作技術を確立し、製品化を図る必要がある。そこで洋装分野での新しいシルク素材であるネットロウシルク並びにロウシルクを対象に素材特性を生かしたマフラー等の織物を養蚕農家が容易に取り組める手織りにより試作するとともに、商品化の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. ネットロウシルク製のマフラーは、経糸、緯糸とも200dネットロウシルクを2本合撚糸した糸を使い、幅38cm、長さ130cmに手織機により織る。
  2. ロウシルク製は、経糸に厚手のものは100d生糸を2本合撚糸した糸を、薄手のものは100d1本の糸を使い、緯糸は双方とも100d2本合撚糸した糸で、幅32cm、長さ150cmに手織機により織る。
  3. 整経から仕上げまでの制作日数は、約2日程度である。
  4. 消費者による触感テストでは、ネットロウシルク製は素材のかさ高性、柔軟性、軽さ等の特性が生かされ、風合いと光沢の面でも好評であり、購入しても良い価格として調査協力者の45%が5,000〜8,000円と示しており、価格設定面でも有用な情報が得られている。
  5. ロウシルク製は、肌ざわり等にやや劣るものの、シルク特有の光沢があるなど商品としての評価を得ている。
    (具体的データ)

[成果の活用面・留意点]
  1. 手織り過程において、整経の際のケバ立ちが目立つので、コーティング等の処理を施す。
  2. 多染色性等による商品化のための市場調査法について再検討する。

[その他]
研究課題名:絹新素材の開発及び蚕繭・桑の多面的利用技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成7〜16年